たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

ヨルシカのライブ「盗作 再演」と競争戦略と建築について

ブログに書くネタがないわけではない。最近の出来事を羅列してみる。 山本理顕展に行った。 ゴッホ展に行った。 『ほんとに、フォント』がひどい。 楠木建の『戦略読書日記』が面白かった。 『「バカな」と「なるほど」』はいまいち。 『10宅論』は面白いは…

『春にして君を離れ』コペルニクスの肖像を見てシコれ

アガサ・クリスティーの『春にして君を離れ』を読んだ。ネタバレはしまくる。 春にして君を離れ (クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリスティー,中村 妙子 早川書房 Amazon 主人公はイギリス人女性のジョーン。 彼女は弁護士の妻で悠々自適な暮らしを送って…

『動物化するポストモダン』を読んだ後にダリの展覧会に行った話

『動物化するポストモダン』を読んだ。 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書) 作者:東浩紀 講談社 Amazon この本で語られていることはだいたい次のようなことだと思われる。 単一の大きな社会的規範(=大きな物語)により成員を…

下水道のある本屋さん

前回、本屋で本を買えないという話をしました。 理由は以下のとおりです。 情報量が多すぎる。 本を持って帰るのがしんどい。 本を読み終わった後がしんどい。 支払いがしんどい。 あれを書いてから数日後、ちょっとした用事があり東京の神保町に行きました…

筋トレを習慣化した結果、面白さの源泉が見えてきたような気がする。

去年の夏から筋トレをしている。 一年ぶりに大学時代の友人たちと食事をした際、そのうちの一人がトレーニングにハマっていたのがきっかけだ。 私にとって筋トレは、幾度も習慣化することに失敗し続けてきた一大事業である。今回はなぜ続いているのか。三つ…

『殺戮にいたる病』 感想

『殺戮にいたる病』を読んだ。 この小説は一応ミステリーに分類されるのではなかろうか。Amazonに記載されている講談社文庫の紹介文?では「ホラー」という言葉があるが、講談社BOOK倶楽部には「ミステリ」と記載されている。 以下ではミステリーという体で…

『コンビニ人間』 コンビニ店員はみんな男でも女でもなく店員です!

村田沙耶香の『コンビニ人間』を読んだ。 これは尋常でなく面白かった。 『三体』のように壮大なスケールで繰り広げられる話ではない。宇宙どころか世界、それどころか町からすら出ない、現代日本の片隅で起きていることを描いた作品である。 『葉桜の季節に…

『リング』

鈴木光司の『リング』を読んだ。 リング 「リング」シリーズ (角川ホラー文庫) 作者:鈴木 光司 KADOKAWA Amazon 貞子で有名なので、ホラーの印象が強いが、実際はサスペンス又はミステリーの色合いが強い。 主人公は雑誌の記者で、離れた場所にいた4人の人物…

『葉桜の季節に君を想うということ』感想(ネタバレなし)

『葉桜の季節に君を想うということ』を読んだ。こりゃ面白い。 葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫) 作者:歌野 晶午 文藝春秋 Amazon この小説は、主に五つの部品から構成されている。 成瀬正虎による詐欺グループ蓬莱倶楽部の捜査 麻宮さくらとの恋 …

『あの頃、乃木坂にいた』写真集を買うということは、未来を信じるということ

『あの頃、乃木坂にいた』を買った。これまでの経験から、写真集を買っても虚しいだけだと思っていたのだが、ついムラムラして買ってしまった。 この本は、乃木坂46五期生の写真集である。価格は2,182円(税抜き)。今年の2月20日に発売された。 オリコン週…

『アクロイド殺し』と『方舟』と『爆弾』

『アクロイド殺し』と『方舟』と『爆弾』を読んだ。いずれもミステリー小説である。 以下、ネタバレを辞さないので未読の方は注意していただきたい。 『アクロイド殺し』はミステリィの女王アガサ・クリスティの傑作。 ある晩、田舎の富豪アクロイドが自宅で…

『西洋絵画Best100』感想

『西洋絵画Best100』というムックを読んだ。 西洋絵画 BEST 100 (TJMOOK) 宝島社 Amazon 昨年アメリカ映画ベスト100を観た結果、ベスト100を制覇すると色々な知見が得られることを悟った。ならば次はなんだろうと考えた結果、名画に思い至ったのである。 前…

上半期読んで良かった本&観て良かった映画

今週のお題「上半期ベスト◯◯」 今週のお題に乗じて備忘録と愚痴を書き散らしていく。 上半期ベスト読んだ本 三体0 仏教の本 上半期ベスト観た映画 深夜の告白 裏窓 シンドラーのリスト Netflixの登録を解除せよ。U-NEXTに登録しよう。 上半期ベスト読んだ本 …

なぜ日本全国に名刹が存在するのか? 『お寺の日本地図』

『お寺の日本地図』を読んだ。 お寺の日本地図 名刹古刹でめぐる47都道府県 (文春新書 1309) 作者:鵜飼 秀徳 文藝春秋 Amazon お寺なんて興味ありません。という人も多いかもしれない。修学旅行で京都や奈良に行ったけど、「古いね~(古いからなんやねん)…

2022年に読んだ本

2022年も終わるので、今年読んだ本を書き出してみる。 記号の意味は次のとおり。 △:読まない方がよかった ◯:読んでもよかったけど読まなくてもよかった ◎:読む価値があった ☆:心が震えた ホモ・デウス ◎ 沈黙のWebライティング ◯ 失敗の科学 ◎ 江戸川乱…

『科学者たちが語る食欲』感想

『科学者たちが語る食欲』を読んだ。 科学者たちが語る食欲 作者:デイヴィッド・ローベンハイマー,スティーヴン・J・シンプソン サンマーク出版 Amazon 本の内容を要約すれば、「人は食いたいものを食っていれば健康に生きられる」ということだ。人間(とい…

『同志少女よ、敵を撃て』&『黒牢城』 感想

『同志少女よ、敵を撃て』を読んだ。 第二次世界大戦の頃、ソ連では女性も兵士として従軍した。主人公セラフィマが生まれ育った村にドイツ軍が迷い込み、セラフィマは目の前で母を殺され、村人は皆殺しにされてしまう。赤軍(ソ連軍のこと)がセラフィマを救う…

『六人の嘘つきな大学生』感想

『六人の嘘つきな大学生』を読んだ。 六人の嘘つきな大学生 (角川書店単行本) 作者:浅倉 秋成 KADOKAWA Amazon 数ヶ月くらい前から本屋に行けばだいたい『同志少女よ、敵を撃て』や『黒牢城』あたりと並んで置いてあるので気になっていた。 『そして誰もいな…

『となりのハト 身近な生き物の知られざる世界』は、ありふれたものほど面白いものはないと気付かせてくれる一冊だ

『となりのハト 身近な生き物の知られざる世界』を読んだ。 ハトの生態を紹介する本だ。 となりのハト 身近な生きものの知られざる世界 作者:柴田 佳秀 山と渓谷社 Amazon この時点で、「面白くなさそう!」と思っただろうか。あるいは「お金を払ってまで読…

『そして誰もいなくなった』でミステリー小説の勉強をする

あなたは日本で一番賞金の高い文芸賞をご存知だろうか。 このミステリーがすごい大賞である。その賞金はなんと1200万円。このミス大賞ともなれば、ヒット間違いなしなので印税収入も含めればとてつもないお金が懐に入ることになる。 では二番目に賞金が高い…

理系分野の勉強をしたくなる『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読んだ。 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』については、ネタバレをしないで感想を書くのが習わしのようなので、それに従って中身にはあまり触れずに感想を述べたい(個人的にはネタバレをしてもいいと思うが、ネタバ…

近づいたと思ったら離れていったSF小説

今週のお題「SFといえば」 今まで読んだSF小説を挙げてみる。 幼年期の終わり 宇宙の戦士 何かが道をやってくる 夏への扉 華氏451度 星を継ぐもの 三体 新世界より ゲームの王国 こんなところか。SFの定義次第ではもう少し読んでいるかもしれないが、とりあ…

『バッタを倒しにアフリカへ』冷徹な世界で愛する者を倒す旅に出た男の物語

『バッタを倒しにアフリカへ』を読んだ。 まずは表紙を御覧いただきたい。 バッタのコスプレをした男が虫取り網を構えている。しかも、著者名が前野ウルド浩太郎? う~ん……。完全にふざけている。なんだか安っぽい。 タイトルも『バッタを倒しにアフリカへ…

2022年上半期に読んだ本

一年も半分過ぎたので、備忘録としてこの半年の間に読んだ本を紹介したい。 記号の意味は下のとおり。 △:読まない方がよかった ◯:読んでもよかったけど読まなくてもよかった ◎:読む価値があった ☆:心が震えた ホモ・デウス ◎ 沈黙のWebライティング ○ 失…

2013年に読みたかった『2016年の週刊文春』

2016年の週刊文春 作者:柳澤 健 光文社 Amazon 前回、『フェルマーの最終定理』や『暗号解読』のサイモン・シンがなぜ面白い本を書けるのかについて考えた。その秘訣は三つだった。 歴史を描いている 人を描いている 難題を描いている これが奥義であるとい…

わたしの戦闘力は400,000,000,000,000,000,000,000,000です

「面白くなさそうだ」と感じたら、それはチャンスだ。 あなたの知らない世界が待っているから。 英雄はこの世界に存在する。 あなたの知らないところで戦い続けている。 殊に暗号を巡る物語は舞台裏で起こっているから。 暗号解読(上下)合本版(新潮文庫)…

『田舎教師』感想 これはあなたの墓標である

田山花袋の田舎教師を読みました。私は自分の墓標を見ていました。 田舎教師 (新潮文庫) 作者:花袋, 田山 新潮社 Amazon 主人公の名は林清三。中学校(今で言う高校に近いものだと思います)を卒業したての彼が教師になるところから物語は始まります。 清三…

週刊少年ジャンプに学ぶ成功法則

あなたは日本で一番売れている漫画雑誌をご存知でしょうか。 そう、週刊少年ジャンプです。 では、それが具体的にどのくらいの売上かはご存知でしょうか? こちらのサイトにランキングが載っています。 コミック2020年度年間掲載誌ランキング – 書籍ランキン…

『和解』日記はエンターテイメントになる

『和解』を読みました。 和解 (新潮文庫) 作者:直哉, 志賀 新潮社 Amazon 小説の神様・志賀直哉の作品です。表紙のおじいさんも志賀直哉です。 この小説は1917年に発表された作品です。第一次世界大戦の頃ですから、かなり古い作品です。ですが、『雪国』と…

『雪国』は織姫と偽彦星の物語?

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。 日本で一番有名な小説は、おそらく『吾輩は猫である』だと思います。 タイトルと同じ一文から始まる冒頭がかなり有名で、キャッチーさもある。しかも、作者があの元千円札のおじさん、夏目…