たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

『アクロイド殺し』と『方舟』と『爆弾』

『アクロイド殺し』と『方舟』と『爆弾』を読んだ。いずれもミステリー小説である。 以下、ネタバレを辞さないので未読の方は注意していただきたい。 『アクロイド殺し』はミステリィの女王アガサ・クリスティの傑作。 ある晩、田舎の富豪アクロイドが自宅で…

『西洋絵画Best100』感想

『西洋絵画Best100』というムックを読んだ。 西洋絵画 BEST 100 (TJMOOK) 宝島社 Amazon 昨年アメリカ映画ベスト100を観た結果、ベスト100を制覇すると色々な知見が得られることを悟った。ならば次はなんだろうと考えた結果、名画に思い至ったのである。 前…

上半期読んで良かった本&観て良かった映画

今週のお題「上半期ベスト◯◯」 今週のお題に乗じて備忘録と愚痴を書き散らしていく。 上半期ベスト読んだ本 三体0 仏教の本 上半期ベスト観た映画 深夜の告白 裏窓 シンドラーのリスト Netflixの登録を解除せよ。U-NEXTに登録しよう。 上半期ベスト読んだ本 …

なぜ日本全国に名刹が存在するのか? 『お寺の日本地図』

『お寺の日本地図』を読んだ。 お寺の日本地図 名刹古刹でめぐる47都道府県 (文春新書 1309) 作者:鵜飼 秀徳 文藝春秋 Amazon お寺なんて興味ありません。という人も多いかもしれない。修学旅行で京都や奈良に行ったけど、「古いね~(古いからなんやねん)…

2022年に読んだ本

2022年も終わるので、今年読んだ本を書き出してみる。 記号の意味は次のとおり。 △:読まない方がよかった ◯:読んでもよかったけど読まなくてもよかった ◎:読む価値があった ☆:心が震えた ホモ・デウス ◎ 沈黙のWebライティング ◯ 失敗の科学 ◎ 江戸川乱…

『科学者たちが語る食欲』感想

『科学者たちが語る食欲』を読んだ。 科学者たちが語る食欲 作者:デイヴィッド・ローベンハイマー,スティーヴン・J・シンプソン サンマーク出版 Amazon 本の内容を要約すれば、「人は食いたいものを食っていれば健康に生きられる」ということだ。人間(とい…

『同志少女よ、敵を撃て』&『黒牢城』 感想

『同志少女よ、敵を撃て』を読んだ。 第二次世界大戦の頃、ソ連では女性も兵士として従軍した。主人公セラフィマが生まれ育った村にドイツ軍が迷い込み、セラフィマは目の前で母を殺され、村人は皆殺しにされてしまう。赤軍(ソ連軍のこと)がセラフィマを救う…

『六人の嘘つきな大学生』感想

『六人の嘘つきな大学生』を読んだ。 六人の嘘つきな大学生 (角川書店単行本) 作者:浅倉 秋成 KADOKAWA Amazon 数ヶ月くらい前から本屋に行けばだいたい『同志少女よ、敵を撃て』や『黒牢城』あたりと並んで置いてあるので気になっていた。 『そして誰もいな…

『となりのハト 身近な生き物の知られざる世界』は、ありふれたものほど面白いものはないと気付かせてくれる一冊だ

『となりのハト 身近な生き物の知られざる世界』を読んだ。 ハトの生態を紹介する本だ。 となりのハト 身近な生きものの知られざる世界 作者:柴田 佳秀 山と渓谷社 Amazon この時点で、「面白くなさそう!」と思っただろうか。あるいは「お金を払ってまで読…

『そして誰もいなくなった』でミステリー小説の勉強をする

あなたは日本で一番賞金の高い文芸賞をご存知だろうか。 このミステリーがすごい大賞である。その賞金はなんと1200万円。このミス大賞ともなれば、ヒット間違いなしなので印税収入も含めればとてつもないお金が懐に入ることになる。 では二番目に賞金が高い…

理系分野の勉強をしたくなる『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読んだ。 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』については、ネタバレをしないで感想を書くのが習わしのようなので、それに従って中身にはあまり触れずに感想を述べたい(個人的にはネタバレをしてもいいと思うが、ネタバ…

近づいたと思ったら離れていったSF小説

今週のお題「SFといえば」 今まで読んだSF小説を挙げてみる。 幼年期の終わり 宇宙の戦士 何かが道をやってくる 夏への扉 華氏451度 星を継ぐもの 三体 新世界より ゲームの王国 こんなところか。SFの定義次第ではもう少し読んでいるかもしれないが、とりあ…

『バッタを倒しにアフリカへ』冷徹な世界で愛する者を倒す旅に出た男の物語

『バッタを倒しにアフリカへ』を読んだ。 まずは表紙を御覧いただきたい。 バッタのコスプレをした男が虫取り網を構えている。しかも、著者名が前野ウルド浩太郎? う~ん……。完全にふざけている。なんだか安っぽい。 タイトルも『バッタを倒しにアフリカへ…

2022年上半期に読んだ本

一年も半分過ぎたので、備忘録としてこの半年の間に読んだ本を紹介したい。 記号の意味は下のとおり。 △:読まない方がよかった ◯:読んでもよかったけど読まなくてもよかった ◎:読む価値があった ☆:心が震えた ホモ・デウス ◎ 沈黙のWebライティング ○ 失…

2013年に読みたかった『2016年の週刊文春』

2016年の週刊文春 作者:柳澤 健 光文社 Amazon 前回、『フェルマーの最終定理』や『暗号解読』のサイモン・シンがなぜ面白い本を書けるのかについて考えた。その秘訣は三つだった。 歴史を描いている 人を描いている 難題を描いている これが奥義であるとい…

わたしの戦闘力は400,000,000,000,000,000,000,000,000です

「面白くなさそうだ」と感じたら、それはチャンスだ。 あなたの知らない世界が待っているから。 英雄はこの世界に存在する。 あなたの知らないところで戦い続けている。 殊に暗号を巡る物語は舞台裏で起こっているから。 暗号解読(上下)合本版(新潮文庫)…

『田舎教師』感想 これはあなたの墓標である

田山花袋の田舎教師を読みました。私は自分の墓標を見ていました。 田舎教師 (新潮文庫) 作者:花袋, 田山 新潮社 Amazon 主人公の名は林清三。中学校(今で言う高校に近いものだと思います)を卒業したての彼が教師になるところから物語は始まります。 清三…

週刊少年ジャンプに学ぶ成功法則

あなたは日本で一番売れている漫画雑誌をご存知でしょうか。 そう、週刊少年ジャンプです。 では、それが具体的にどのくらいの売上かはご存知でしょうか? こちらのサイトにランキングが載っています。 コミック2020年度年間掲載誌ランキング – 書籍ランキン…

『和解』日記はエンターテイメントになる

『和解』を読みました。 和解 (新潮文庫) 作者:直哉, 志賀 新潮社 Amazon 小説の神様・志賀直哉の作品です。表紙のおじいさんも志賀直哉です。 この小説は1917年に発表された作品です。第一次世界大戦の頃ですから、かなり古い作品です。ですが、『雪国』と…

『雪国』は織姫と偽彦星の物語?

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。 日本で一番有名な小説は、おそらく『吾輩は猫である』だと思います。 タイトルと同じ一文から始まる冒頭がかなり有名で、キャッチーさもある。しかも、作者があの元千円札のおじさん、夏目…

鬼と人間、双方生きる道はないのか?

今週のお題「鬼」 心のやさしい鬼のうちです。 どなたでもおいでください。 おいしいお菓子がございます。 お茶も沸かしてございます。 むかしむかし、人間と仲良くしたい心の優しい赤鬼がいました。 赤鬼は家の前に看板を立て、人間をお茶に誘いましたが誰…

『サピエンス全史』を読んだので少子化問題について考えてみた

『サピエンス全史』を読みました。 以前にも書きましたが、5Pに1回は目から鱗が落ちます。とてつもなく面白い本です。最初から最後まで、読む者の想像力を刺激し続けてやみません。 サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福 作者:ユヴァル・ノア…

今年一年で読んだ本を紹介しつつ、面白い本の見つけ方を探る

年の瀬なので今年読んだ本を時系列順に紹介します。 併せて、面白い本を探す方法について考えてみます。 読んだ本に下記のとおりの評価を与えます。 △:読まない方がよかった ◯:読んでもよかったけど読まなくてもよかった ◎:読む価値があった ☆:心が震え…

『推し、燃ゆ』感想・解説 社会からの追放は尺度からの解放でもある

来年の芥川賞のノミネート作が発表されましたね。 そんな時期になって今さら感がありますが、今年の受賞作である『推し、燃ゆ』を読みました。 期待していた以上に面白かったので解説をしたいと思います。 「推し」という新しい言葉と「燃ゆ」という古語とで…

ビジネスパーソンはミステリー小説『硝子の塔の殺人』から何を学べるのか?

昨日の記事にも書きましたが、『硝子の塔の殺人』が非常に面白かったので、それについての話を書きます。どのくらい面白かったかというと、今年読んだ本の中では五本の指に入るくらい面白かった。 硝子の塔の殺人 作者:知念 実希人 実業之日本社 Amazon この…

Audibleを退会しました

以前、こんな記事を書きました。 weatheredwithyou.hatenablog.com Audibleの長所短所両方書きつつも全体としてはAudibleを勧めている記事。 こんなもんを書いといてあれなのですが、本日、私はAudibleを退会しました。 理由としては、以下の二つが挙げられ…

『世界に一つだけの花』が普遍的な真理を説いていると言える理由

No.1にならなくてもいい もともと特別なオンリーワン 槇原敬之作詞作曲『世界に一つだけの花』の有名すぎる歌詞です。 一定以上の年齢層であれば、日本国民誰でも知っていると言っても過言ではないでしょう。 CDシングル歴代売上第三位の大ヒットを記録して…

『多様性の科学』 鬼舞辻無惨が滅びるのは必然である理由

今週のお題「読書の秋」 『多様性の科学』を読みました。「~の科学」と書かれると数式とか化学式とかが出てきそうな雰囲気がほのかに醸し出されますが、全然そんなことはありません。いやむしろ、この本にはいくつかの悲劇的なストーリーやサクセスストーリ…

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読みました。 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(新潮文庫) 作者:ブレイディみかこ 新潮社 Amazon 黄色い色に少年の絵の表紙がとても印象的ですよね。 アイルランド人と結婚してイギリス在住の…

意外と浅くて予想どおりに深いコーヒーの歴史

先日、お茶についての記事を書きました。 weatheredwithyou.hatenablog.com Wikipediaをまとめただけの簡単なものですが、身近なお茶について私は何も知らないんだなーというのが分かってなかなか面白かったので、今度はコーヒーについて書きたいと思います…