たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

2022年上半期に読んだ本

 一年も半分過ぎたので、備忘録としてこの半年の間に読んだ本を紹介したい。

 記号の意味は下のとおり。

△:読まない方がよかった

◯:読んでもよかったけど読まなくてもよかった

◎:読む価値があった

☆:心が震えた

  1. ホモ・デウス ◎
  2. 沈黙のWebライティング ○
  3. 失敗の科学 ◎
  4. 江戸川乱歩傑作選 ◎
  5. タヌキ学入門 ○
  6. 雪国 ◎
  7. 田舎教師 ◎
  8. 田舎教師』について ◎
  9. 和解 ○
  10. 三四郎 ○
  11. 暗号解読 ☆
  12. 十角館の殺人 ◎
  13. 2016年の週刊文春 ☆
  14. 教養悪口本 ○
  15. 読みたいことを、書けばいい。 ○
  16. 「面白い!」のつくり方 ◎
  17. ことばの発達の謎を解く ◎
  18. 国家 ☆
  19. バッタを倒しにアフリカへ now reading…
  20. 宇宙創成 now reading…
  21. ふたたびの高校数学 now reading…

 何度も数えたが、これ以外にはなかった。昨日、一年に50冊は読んでいるので~とか書いたが、今年は大きく下回りそうなペースだ。『国家』『暗号解読』『ホモ・デウス』をそれぞれ2冊換算しても(実際に上下巻なので)、かろうじて20冊に届くといったところか……。

 だが、冊数を絶対的基準にするのは良くない。『教養悪口本』はスキマ時間を使うだけで4日で読めたので、こういう系の本ばかり読んでいれば、年に50冊届くのは容易だ。しかし、それではあまり自分の糧にはならないだろう。(誤解のないように言っておくが、『教養悪口本』は面白い本だ。)

 それに今年はかなり打率が良い。○にしたやつも面白い本ばかりで、自分が解釈を頑張れば◎にもなりうる、微妙なラインのやつらだ。

感想

 すでに記憶があやふやなものも多いが、一応、感想を書いていく。

ホモ・デウス ◎

 『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリが書いた本。人類のこれまでを描いた『サピエンス全史』に対し、人類のこれからを軸に書かれている。相変わらず含蓄が多くて面白いのだが、いかんせん『サピエンス全史』とかぶるところも多い。『サピエンス全史』を一読して完全に頭に入れることなどできようもないので、復習になっていいのだが、感動が薄まることは否定できない。

沈黙のWebライティング ○

 『沈黙のWebマーケティング』の続編。相変わらず面白く本質的なことを語ってくれているので良い本なのだが、いかんせん自分が実行に移すことができずにいるので◎にはしづらい。

失敗の科学 ◎

 『多様性の科学』のマシュー・サイドの本。さすがの面白さ。

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江戸川乱歩傑作選 ◎

 古典ミステリーは知的好奇心を刺激してくれる。この本に収録されている『二銭銅貨』を読んだのがきっかけで、積読していた『暗号解読』を開いたので、そういう意味でも大きい一冊。

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タヌキ学入門 ○

 めたたぬきとして狸の勉強をせねばと思って読んだ本。後半は著者の行ったフィールドワークなんかについても書かれていて、生物学とはどんな学問分野かの一端に触れることもできるし面白い。

 問題は、この本から学んだことをブログのあり方に活かせない自分にある。

雪国 ◎

 正直、読んでいる最中の手応えとしては「難しい……」だったので、下の記事を書かずにそのまま本棚にしまっていたら○になっていたかもしれない。そう考えると、とにかく記事にしてみることが、本に書いてあったことを消化するためには必要なのかもしれない。

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 こんなんも書いた。

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 ちょうど舞妓業界への告発が話題になっている。『雪国』を読んでいなければ、「そういうところもあるのねえ」的な感想を抱いただけで読み流していたおそれがある。そういう意味では読んだタイミングも良かった。

田舎教師 ◎ 『田舎教師』について ◎

 『『田舎教師』について』を一冊にカウントしているのはなんだかずるい気もするが、一冊なのだからしょうがない。

 まあ正直、面白さでいえば、今回リスティングした中では一番下の本なのだが、やはり本を書くことの意味が分かる一冊という意味で読む価値があったと言わざるを得ない。詳細は下の記事から。

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和解 ○

 まあまあ面白かったので◎にするかどうか非常に悩ましいところ。う~ん、でもめちゃくちゃ面白かったってほどでもないんだよな。

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三四郎 ○

 こちらも面白いは面白いし、東大版『恋は短し歩けよ乙女』的な感じもありつつ、なんなら小川三四郎のことが他人には思えないのだが、なんだろうね。なんだか腑に落ちないというかなんというか。ストレイシープ

暗号解読 ☆

 まあもうとにかく面白い。持てるものは下の記事に全てぶつけた。「数学=スゴい」という観念が植え付けられたので、そういう意味でもこの本を読んだ価値はでかい。

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十角館の殺人 ◎

 「ミステリーといえば」でほぼ確実に名前が挙がるこの作品。ようやく読んだ。たしかに面白い。読んでおいて損はなし。

 とはいえ、完全無欠の大傑作という感じではない。大学生の綾辻行人が書いたデビュー作というだけあって、粗さも感じられる(他の綾辻作品を読んでいないので、粗さが取れていくのかは知らない)。にも関わらず、今も語り継がれるというのは、ミステリーの歴史上で果たした役割がそれだけ大きいに違いない。

2016年の週刊文春 ☆

 上半期のトップ2は『暗号解読』と『2016年の週刊文春』で決まり!

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教養悪口本 ○

 ゆる言語学ラジオでおなじみの堀元見の処女作(出版物としては)。悪意とトリビアに満ちている堀元さんらしさ全開の本。サクサク読めて楽しい。一時の癒やしが本を読む価値であるというなら間違いなく◎にしていい本。

読みたいことを、書けばいい。 ○

 堀元さんがYouTubeのビジネス書百冊読む企画で絶賛していたので読んだ。けっこう良いこと書いてるし、語り口に田中泰延氏の人柄が滲み出ている。他のライティングハウツー本には書かれていないことが書いてあるし、SEO的な側面から(つまりビジネスとして)書くことを説いている本に対して真正面から喧嘩を売っているのも個人的には非常に評価高し。

 なのに◎じゃないのは、『沈黙のWebライティング』と同じで、自分が実践できていないので。

「面白い!」のつくり方 ◎

 この本、前半はイマイチだが、後半がいい。「自分にとって面白いもの」の見つけ方が紹介されている。

  1. 過去に撮った写真を眺めよう。写真に撮るということは心を動かされた証拠だから、そこにはヒントがある。
  2. なぜ自分の心が動かされたかを考えて、「AをBすると面白くなる」という形で法則に変えてみよう。

みたいな感じの教えが書かれていた。これは非常に実践しやすいし、応用もしやすくて( ・∀・)イイ!!。まあ、それを記事を書くのに生かせているかというと微妙なのだが、とりあえず面白さの法則収集までは誰でもできるし、楽しい。

ことばの発達の謎を解く ◎

 ゆる言語学ラジオで紹介されていたのがセールだったので読んだ(ちなみに『2016年の週刊文春』もゆる言語学ラジオきっかけで読んだ。素晴らしいクリエイターは面白い本を知っているものなのだろうか。)。

 この本を読んで一番感動したのは、赤ちゃんが単語を発見する過程。赤ちゃんが言葉を理解するには、親などが発する一連の音声を適切な場所で区切って単語を発見しなければならない。赤ちゃんには上の一文はこんなふうに聞こえるはずだ。「akatyangakotobaworikaisurunihaoyanadogahassuruitirennnoonseiwotekisetunabasyodekugitte……」これを「akatyan ga kotoba wo rikaisuru niha ……」といった感じに切り分けていくことが単語の発見である(たぶん)。しかし、言うは易く行うは難し。想像するだけでも、これはめちゃくちゃ難しい。あなたは韓国映画を見ながら、韓国語の単語を適切に発見することができるだろうか。せいぜい「オモニー」とか「アボジー」とか「サジャンニム」とか「ノムヘノムヘ」とか、あるいは日本語に似た言葉を聞き取れる程度ではないだろうか。韓国語は比較的日本語に似ているから無理ではないかもしれない。しかし、フランス語だったら? ヒンドゥー語だったら? 無理である。では、赤ちゃんがどうやってこの難問に取り組んでいるのかというと、機能語(て・に・を・は……といった言葉)や、ある音の次によく来る音、来ない音に着目することで状況を打開している。上のアルファベットで書いた日本語文を切り分けていくと、単語と単語の間に助詞が挟まっていることに注目されたい。さて、これの何にそんな感動するかというと、やっていることが頻度分析なのである。文中に頻出する音を手がかりに暗号を解読しているのだから。頻度分析は暗号解読の基本のキだが、歴史に登場したのは9世紀頃とわりと最近の話だ。人類が少なくとも何百年もかけて到達した境地に、人生経験数ヶ月の赤ちゃんが到達しているという事実。いや、赤ちゃんは暗号文の言語を知らないのだから、それ以上に難易度の高いことをやってのけている。全ての赤ちゃんが、である。あのおバカタレントだって、この偉業を成し遂げて言語を話しているのだ。赤ちゃんすごい。オレすごい。

 この他にも、言語の習得ってのは単語Aと単語Bの違いが分かることだよ的な話もあったりして、赤ちゃんの言語習得には人間の本質が詰まっているような気がした。


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国家 ☆

 書けることは下の記事に書いた。「真実の愛」を探しているバチェラー的な人やバチェロレッテ的な人に読んでほしい本だ。

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学び

 何を読んだか忘れないように書いておこうと思って書いてきたが、色々と感じたことがあるので書いていく。

本を読んだらブログに書こう

 読んだ本についてブログにはわりと書いてきているが、全てを書いているわけじゃない。そこまで良い本じゃなかったな~とか、良い本だけど感想を書きづらいな~とか、いろいろな理由がある。

 だが、今回の記事を書いていて思ったのは、以下の2点。

  • ブログに書くことで生まれる感想もある。
  • ブログに書かないと忘れる。

 『雪国』や『田舎教師』なんかは読んでいて難しかったり面白くなかったりしたのだが、ブログに書こうと思って頑張った結果、自分の中でなんだかスペシャルな意味をその二つに与えられた気がする(あくまで自分の中での話)。結果、○が◎になったところがある。

 そして、ブログに書かなかった本は、驚くほど内容を忘れていることに気付いた。まあ書いた本についても微妙なところがないわけではないが、やはり数千字書くのと書かないのとでは違う気がする。『サピエンス全史』に書かれていたことはわりと覚えているつもりなのだが、『ホモ・デウス』だけに書かれていたことを思い出せる気がしない。

 せっかく読んだのだから、読んでよかったと思いたいし、内容も覚えていたい。どんな本でも記事にしていこう。本以外のものも記事にしていこう。映画なんかはNetflixアマゾンプライムビデオだと視聴履歴を追えないし。

ハウツー本で読んだことは実践していきたいものですね

 『沈黙のWebライティング』と『読みたいことを、書けばいい。』については、実践できている気がしないので評価を下げた。評価の基準が「読む価値があったかどうか」なので、実践できていなければ読んだ価値はなかろうという判断だ。が、当然のことながら、これは本が悪いのではなく、自分が悪い。読んだらやる。これが大事。わかっていてもできないのだが。

スキマ時間はスマホで本を読もう

 読書量が減った理由は、Audibleを解約したことにある。打率が上がったのもAudible解約のおかげである。

 その代わりではないが、スマホの通信量節約のために、以前は会社の昼休みやトイレではSNSを見ていたのだが、その時間を読書に当てることにした。

 以下の本はスマホで読んだものだ。

  1. タヌキ学入門 ○
  2. 十角館の殺人 ◎
  3. 2016年の週刊文春 ☆
  4. 教養悪口本 ○
  5. 読みたいことを、書けばいい。 ○
  6. ことばの発達の謎を解く ◎
  7. バッタを倒しにアフリカへ now reading…

 今までAudibleで読んでいた分の半分くらいはこれで稼げている。意外と読めるものだ。

 が、大事なことはそんなことではない。無駄な情報の多いSNSで面白いものを求めてさまようより、面白い本を読んだほうが圧倒的な充実感が得られる。そして、会社が少し楽しい場所になる。なんなら本を読むために会社に通っているぐらいの気分だ。しかも、当初の目論見通り、通信量は月3GB以下に抑えられている楽天モバイルなら980円(税抜)しかかからない。一石二鳥どころの話ではない。

 もしスキマ時間をSNSに費やしていたら、追加料金千円を払ってQOLを下げていたことになる。恐ろしい話だ。