今週のお題「お米買えた?」
今朝の毎日新聞の記事が面白かった。
内容を簡単にまとめると、
- 昨年は不作ではない。
- インバウンドによって増えた需要はせいぜい0.5%
- それなのに米が買えないのは、減反政策のせい。
- 減反政策はコメの価格維持のために行われている。
- 減反政策に年間3,000億円支出されている。
- 品種改良を止めているために単位面積当たり収穫量は、カリフォルニアが日本の1.6倍
- 減反などやめて増産した分は輸出すればいいのに。
という話。
上の記事は有料会員しか読めないが、下のページは同じインタビュイーが書いたもので、似たようなことが書いてある。
私は素人なので真偽は分からないが、本当だとしたら非常に面白い話だ。
一つの問題がある。それに対する通説的な解答がある。しかし、その解答では辻褄が合わない。真の答えは別のところにある。そして、その真の答えに基づいて問題を解消する方向に働きかけていけば、今の問題が解消されるだけじゃなくて、色々と良いことがありますよ……というストーリー。ミステリー小説に近いものがある。
民主党が政権を取った頃、埋蔵金がどうたらこうたら言われていたが、あれも同じような話だったのではないだろうか。よく知らんけど。
通説となる解答は底が浅い。着眼点も平凡だし、問題と解答が直結している。たとえば、「不祥事が相次ぐのは自民党の風土に原因がある」みたいな。成否は分からないが、誰でも思いつくことだし、なんの深みもない。これは面白くない。
とはいえ、上記のような形式の面白い話は難しい。まず真の答えに辿り着くには一定程度の知識やらなんやらと名探偵のような閃きが必要な気がする。仮に真の答えに辿り着いたとしても、一連のストーリーを民衆に分かりやすく伝えることはさらに困難だ。
この困難に対して活路を見出したのが石丸伸二である。ミステリー小説のクライマックスを書くのが難しいのならば、ミステリー小説の書き出しだけ提示すればよい。名探偵になれなくても、事件の第一発見者には誰もがなれる。既存の問題にアプローチするのではなく、問題のないところに問題を起こす。その上で、彼は「日本の未来はみなさんにかかってます」と訴える。つまり、「名探偵は君だ」と言っているのだ。今流行りのイマーシブなんちゃらというやつである。彼が凄いのは、この手法を彼の強みだと言えてしまうところにある。
今、国内政治的に一番ホットな話題といえば、自民党総裁選だ。岸田総理の次に総理大臣になるのは誰か。小泉は若いし、石破は人望がないし、河野はXでブロックするし、ほかの人だと刷新感が薄いし……みたいな侃々諤々が巻き起こっている。
それに対して、立憲民主党代表選は全く盛り上がっていない。枝野が出る、野田が出る……といった話題はあるが、新聞での扱いは非常に小さい。なぜか? 物語には権力の移動が伴うものだからである。権力なきところに物語は生まれない。野党の代表が誰だろうがはっきり言ってどうでもいいのである。立憲民主党の代表選に誰が出ようが、立憲民主党の党首になんの権力もないのだから盛り上がりようがない。一言で言えば、面白くない。今まさに権力を握っている自民党とは前提が全く違うということを立憲民主党員は理解しなければならない。
立憲民主党の代表選を盛り上げるには、立憲民主党の党首が権力を行使する以外に道はない。つまり、泉健太が野田と枝野に対して強権を発揮して出馬を妨害する。こうすることで立憲民主党の党首の権力性が顕在化し、ドラマが生まれる。考えてみてほしい。選挙以外の場面において、ツイッター上で共産党が話題になるのはどういうときか? 共産党が共産党批判をした党員を除名したときではなかったか? そういうことである。
物語には権力の移動が伴う。顕在化した権力は移動させねばならない。泉健太が強権を発揮して、それでもなお野田に代表が替わる。野田が泉に言う。
「ノーサイドにしましょう」
ここにドラマが生まれる。
小沢一郎が「泉じゃダメだぁ」って言ったから替わるのでは全く面白くない。この物語の主役はお前なんだ、泉健太。
私は今年の春まで、米は近所のドラッグストアで買っていた。なんせ5キロの無洗米が1,500円程度で買えたのだ。これは私の生息する商圏では圧倒的激安である。それが今年の春ぐらいから、品不足だかなんだかで米を売らなくなった。仕方ないから、今は普段利用しているスーパーで2,500円ぐらいの無洗米を買っている。もしそれすら買えなくなったら涙の素パスタ派になるしかない。でも心の中ではいつまでも米のことを思っている……。生まれた時から米を食べて生きてきたんだから……。これもまた一種のドラマ……。
シェーン! カムバーック!