たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

眠れなくなるほど面白い宇宙の話 感想

 先日、『三体』を全巻読み終えて宇宙への興味が俄然湧いたので『眠れなくなるほど面白い宇宙の話』という本を読んでみました。

  わりかし地学などで習ったような気がするレベルの基本的な話から書いてあり、されど教科書には(たぶん)書いてなかったようなことも書いてあり、勉強になりました。いかにも読みやすそうなタイトルと表紙ですが、実際非常に読みやすかったです。それに量もちょうどよい。

 個人的に一番興味を惹かれたのは月の持つ可能性の話です。

 まず、月を開発することができれば人類はとてつもない量のエネルギー源を獲得できるかもしれないというお話が一つ。というのも、月にはヘリウム3という物質がたくさんあるそうで、このヘリウム3は核融合の原料なのだそうです。これが1万トンあれば、全人類の百年分のエネルギーを賄えるのだそうですが、月にはそれがなんと数十万トンあるのだとか! すごいですねー。月に人が住まないなら原子力発電もそんなに心配ではない気もします(そもそも宇宙は放射線だらけなんて話も聞いたことがあります)。

 そしてもう一つ、月は天体望遠鏡を設置するのに絶好の場所だという話。地球にあって、月にないものがいくつかあります。まず重力です。月には地球ほど重力がないので、どでかい望遠鏡を作ることが可能になります。そのうえ、観測の邪魔をする大気がない。電離層もない。昼も短い。さらにさらに、大気が薄いため天候もない。よって頑丈に作る必要がないため(?)、安いコストで作れるというのです。そのような観測機器を稼働させることができれば、天文学のさらなる発展が期待できそうです。

 今まで宇宙開発にロマンを感じこそすれ、それで何が得られるかなんてあまり知りませんでしたが、こんな実益があるものなのかと。スペースXなどのロケット開発が進んでいる昨今、月で人類が活動する時代は、もしかしたら私が生きている間に来るかもしれません(というか10年後までにはスペースXのロケットに乗って人類が月面着陸するなんてのがニュースになっていることでしょう)。その時代が何をもたらすかについて、それなりに明確なビジョンを持つと、ますますワクワクできそうです。

 その他には、『三体』で描かれたケンタウルス座の惑星についてですが、これが発見されたのは2016年のことだそうです(存在の予想自体は1996年にされていたそうな)。『三体』が発表されたのは2006年のことのようなので、実は『三体』の設定は当時まだ未確定の事実に基づくものだったということになります。この惑星、実在したうえに、水が存在する可能性がある=本当に生物がいる可能性があるのだとか。物語と現実が交わるような不思議な感覚。実に面白いですね。

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