たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

三問目 間接法

「大型トラックの減価償却を生産高比例法にて行う。記帳は間接法によること。ーー」

 減価償却の問題なので、今期の減価償却分を求めればいけそうです。

 が、そう簡単にいかないのが、「間接法」という部分。間接法とは???

直接法

 私が最初に書いたのは以下のような仕訳です(減価償却費は60万円でした)。

(借方)減価償却費 600,000円 (貸方)車両 600,000円

 60万円減価償却をして(費用)、それに相当する分が資産(今回は車両)から引かれるのだから、こうだろうと思ったわけです。

 しかし、このやり方は直接法というそうです。

間接法

 問題には「記帳は間接法による」と書いているので、この書き方では不正解のようです。

 間接法は、資産から減価償却分をマイナスするのではなく、貸方に減価償却累計額をプラスしていくという記法のようです。

 残存価額は資産額から減価償却累計額を引くことで初めて求めることができるから間接法というのでしょう。

 なので、今回の問題の答えは

(借方)減価償却費 600,000円 (貸方)減価償却累計額 600,000円

 だったのでした。

実例

 実例を見てみます。

 まず、鉄道関係を見てみます。JR東海の令和2年3月31日決算の有価証券報告書から。

f:id:weatheredwithyou:20210424164214p:plain

直接法

 資産の純額しか書いていないので、これは直接法と言えそうです。JR東日本京浜急行電鉄ANA電通なども見てみましたが、同じような書き方になっていました。

 もちろん、これはあくまで公開する貸借対照表においてどう見せているかの問題であって、内部的にこれらの会社が直接法を用いているとは限らないと思います。

 

 次に、三菱地所の令和3年3月31日決算期の第三四半期報告書を見てみます。

f:id:weatheredwithyou:20210424164548p:plain

間接法

 ここには減価償却累計額が記載してあります。これは間違いなく間接法です!

 注意点は、貸借対照表上では借方(左側)に書いてあるという点ですね。減価償却累計額はあくまでも資産からマイナスするものなので、仕訳の段階では貸方(右側)に書かなければなりません。(とはいっても、減価償却累計額は負債なわけではなく、あくまでマイナスの資産ということのようです。)

 ちなみに、三井不動産も間接法により記載していました。

結論

  • 減価償却した分を資産から直接差し引くのが直接法。
  • マイナス分を減価償却累計額という別の項目に書くのが間接法。

 それはよいとして、なぜ三菱地所三井不動産の二社は間接法なのでしょうか? 直接法と間接法の違いは取得原価が分かるかどうかです。不動産会社は不動産という資産を運用していることを考えると、取得原価に対して何%の利回りで運用できているかが大事。だから間接法で記載する……ということでしょうか?

 三菱地所の賃貸事業による収益は約3880億円らしいので、これに4/3をかけた結果を5兆759億円(=2兆8400億+2兆2359億)で割ると、だいたい年利10%の利回りで不動産を運用している……ということになるのでしょうか? もしそうだとすれば建設仮勘定から未来の利益もある程度割り出すことができる??

 ググってみましたが確証は得られませんでした。ですが、色々と仮設を立てて考えてみるのも面白いかもしれません。