たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

二問目 長期前払費用とは

「今後3年分の広告費を払って資産に計上した」

 二問目はこんな問題でした。

 払った広告費が資産???

 「ちょっと何言ってるかわかんない」状態です。

 解答を見ると、長期前払費用という資産になるようです。

 前払費用が資産??????

 納得できないので、色々と考え方を考えてみました。

※一年以上先の分を前払いしたら長期前払費用、そうでない場合、前払費用となるそうです。

契約を解除すればお金が戻ってくる余地がある

 まず、前払費用はお金だけ払ってまだサービスが提供されていない状態です。

 ということは、契約を解除してしまえば、基本的には、このお金は戻ってくるはずです。

 これを「お金を得る権利」と考えれば、たしかに資産と言えそうです。

 でも、そんな例外的なことに着目して資産とするのは何か違和感があります。

サービスを受ける権利

 あるいは、お金ではなくサービス自体にフォーカスしてもいいかもしれません。

 これからサービスを受ける権利はやはり資産と言えそうです。

 でも、サービスを受ける権利なんていう曖昧なものを資産として計上するのは何か違和感があるような気が……。

固定資産と同じ

 たとえば建物を建てた時や車を購入した時、その費用は支払った時にまるっと計上されるわけではありません。何年かに分けて少しずつ経費に計上していきます。減価償却です。

 新しく鉄道会社を立ち上げた時、初期に莫大な費用がかかります。もし、減価償却という仕組みがなかったとすると、最初の数年は莫大な赤字になり、それ以降は莫大な黒字になることが予想されます。これでは経営状態を正しく把握することが難しくなります。たとえば、「最初の一年目は鉄道を敷くのに100億円費やしたので90億円の赤字。それ以降は毎年10億円の黒字」という会社があったとして、最初の赤字とそれ以降の黒字をどう評価すればよいでしょうか? 直近の5年だけ見れば、毎年10億円稼ぐ素晴らしい会社だ!と思ってしまいますが、最初に敷いた鉄道が10年しか使えない代物だとしたら、本当はこの会社は利益を生み出せない会社だということになります。これは誤った投資判断の温床になりそうです。

 このようなことが起こるのは売上と費用が別々の会計期間に計上されてしまうからですね。そこで、10年使えるものは10年かけて少しずつ費用に計上しよう、という知恵が減価償却です。

 さて、長期前払費用も同じようなものだと言えるのではないでしょうか。車や建物との違いは、得られるものが形あるものなのか否かという点だけです。10年もつ鉄道を敷くのに100億円払うか、10年間の広告を打つのに100億円払うか、だけの違いです。

 じゃあ長期前払費用も固定資産として考えちゃえばいーじゃん!というのは納得がいきます。実際、長期前払費用は「投資その他の資産」という固定資産として扱われるようです。

結論

 というわけで、長期前払費用は建物などの実体のある固定資産と同じだと考えると分かりやすい。と私は思いました。

 もしかすると、会社が使うお金は全て利益を生み出すための投資というのが簿記の考え方なのかもしれません。そして、それを費用として計上するのはいつが適切なのか?に基づいて、費用か流動資産か固定資産に振り分けているだけなのかも……?