たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

四問目 社債の取得の仕訳について

社債(額面総額○円、期間:○年、利率:○%、利払日:○月末日)を○日に額面@¥○につき¥○で取得した。代金は端数利息とともに~」

という問題。

 すでに大問1を12回分解いているのですが、この問題は頻出です。ぜひ押さえておきたいポイントです。

社債取得の仕訳は?

 この問題を解く際に、まず社債取得に関する仕訳をせねばなりません(利息を除いた部分)。

社債の勘定科目は?

 まず、社債の勘定科目はなんなのでしょうか?

 そもそも、社債は有価証券です。有価証券とは、ざっくりいえば株と社債の総称と言って良いでしょう。

 有価証券は以下の4つに分類されるようです。

  • 満期保有目的債券
  • 売買目的有価証券
  • 子会社株式及び関連会社株式
  • その他有価証券

 社債は目的に応じて上の二つのいずれかになると考えてよさそうです。

 簿記の問題だと勘定科目は列挙されているので覚える必要はありませんが、満期保有目的だと「債券」で売買目的だと「有価証券」なのが分かりづらいところです。「社債だから債券?有価証券ではないんだっけ?」と不安になります。

 でも、そもそもこの分類が有価証券全体の分類であることを理解しておけばそういった不安はなくなるかもしれません。

 「満期保有目的債券」なのは、「満期保有目的株券」というものが存在しないことを考えれば理解できます。

 株は株式会社の所有権であり、利益から配当を貰う権利であるわけです。その株式会社が存在する限り、株は持ち続けることができる。だから、株券には満期という概念がない。

 でも債券は、株式会社にお金を貸したその利子を受け取る権利を表しているものです。お金を貸すということは、貸した額に応じて利子をもらうということです。それには「いつまでに」という期間が想定されるので、満期保有目的がありうるのです。

社債の帳簿価額は?

 社債を購入した時に資産として計上する額は、いくらで購入したかによって決まります

 社債には額面総額というものが存在します。満期保有すると返ってくるお金のことであり、利率の基準になるお金でもあります。

 まあ、他のものもいくらで売れるかではなくいくらで手に入れたかで計算しているわけだから、そんなに違和感はないのではないかと思います。

利息の計算は?

 問題はこれで終わりではありません。だいたいにおいて、債券自体の額に加えて、取得時点までの利息を払わなければならなかったりします。

 計算自体は簡単です。設問次第になるかもしれませんが、例えば3月末に前回の利払日を迎えていて、4月1日に購入するなら、額面総額×利率×1日/365日で算出できます。

利息の勘定科目

 ここが悩みどころです。選択肢には支払利息と有価証券利息があります。どちらを選べばよいのでしょうか?

 結論から言うと、この場合は有価証券利息。

 支払利息は借金をした場合の利息の支払いに用いるようです。

 しかし、ここは分かりづらいところです。

 とりあえず、社債が有価証券であることさえ理解していれば、社債の利息に支払利息を用いてしまったら有価証券利息はいつ使うの?と考えれば有価証券利息を選べそうです。

 さらに踏み込んで考えると、有価証券の利息を支払うべき主体は、社債の発行体になる気がします。となると、第三者であるただ社債を買っただけの人が支払っているものは、厳密に言えば利息相当額であって利息そのものではない気がします。

 さらに社債を購入したその先のことも考えてみます。たとえば額面100万円で利率1%利払は年一回だとしたら、利払日が来ると1万円の利息を受け取ることになります。この債券を購入する時に0.3万円の端数利息を支払っていたとします。そうすると、正味の利息は0.7万円と考えるべきな気がします。

 ところが、もし端数利息の支払いを支払利息として処理した場合、支払利息0.3万円の受取利息1万円となりそう。この場合、科目が違うので相殺ができません。これはなんだか変な気がします。

 つまり、社債を購入する時に支払った利息相当額の勘定科目は何になるのか?という考え方ではなく、保有社債の利息を受け取る時の勘定科目は何になるのか?という考え方をするべきなのではないかと。

結論

 まあごちゃごちゃ書きましたが、結局のところ、社債は有価証券だ!と確信を持って言えるようになれば全て解決する気はします。

 これを書くにあたって、一部参考にしたのが企業会計基準。そもそも簿記のルールって誰が定めているの?という疑問の答えがこれと企業会計原則のようです。今回参考にしたのは金融商品に関する会計基準。有価証券の分類のところで参考にしました。