たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

大問4 工業簿記

 大問4に着手しています。大問4は工業簿記です。大問3までと毛色が全く違います。

 そもそも工業簿記ってなんじゃいという話です。

 そう思い、私は日商簿記教の経典を開いてみたのですが、冒頭にこう書かれていました。

 初めに、神は簿記を創造された。神は言われた。

「製造業か、製造業以外か」

 こうして、工業簿記と商業簿記が生まれた。

※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません

 

原価計算

 要するに、工業簿記は製造業のための簿記のようです。なんで製造業だけ特別扱いなのよって言いますと、製造業は創造主だからですね。他所から仕入れたものの原価を知るのは簡単です。100円で仕入れたら原価100円です。しかし、物を創造するということになると原価計算もそう簡単ではありません。

原価の種類

 原価には二つの種類があると考えておけばよさそうです。

  • 製造直接費(あるいは直接〇〇費)
  • 製造間接費(あるいは間接〇〇費)

 まあ読んで字のごとくですが、たとえば、餃子を作るとします。餃子の皮やひき肉などの材料や料理人の人件費は製造直接費です。餃子の製造と、原料や人件費は一対一対応ですから。製造間接費は、例えばボウルやフライパンなどですね。使い捨てのボウルなら分かりませんが、普通のボウルは長い時間を掛けて沢山の餃子を作るために使われます。なので、一個の餃子と一個のボウルの関係は、原料のそれに比べると複雑なわけです。

配賦

 製造直接費の算出は簡単です。餃子一個作るのに原料10円分が必要だとすれば、餃子1個あたりの原料費は10円です。当たり前ですね。

 問題は製造間接費です。フライパンの値段をどのように餃子の原価に反映させていくのか。これは便宜的なものにならざるを得ません。というわけで、どのように原価計上するかは恣意的に決めます。たとえば、製造間接費は餃子を作るのに要した時間に応じて決める、というような感じ。

 これを配賦といい、ここでいう餃子を作るのに要した時間のことを配賦基準といいます。単位基準(?)あたりにつきいくら製造間接費を計上するかというのを配賦率といいます。たとえば、「作業時間一時間につき100円の製造間接費を計上しますよー」というのが配賦率です。

 この配賦率が原価計算では必須ですが、簿記の問題ではこの配賦率を直接与えてはくれません。なので、簿記の回答は、年間予定をもとに配賦率を計算するところから始まると考えてよさそうです。ちなみに、ラーメンも作っている会社であれば、ラーメンと餃子それぞれに配賦率が設定されているはずです。

直接配賦法

 配賦の概念により製造間接費の問題がある程度解決されましたが、それにより新しく配賦率をどのように計算するか?という問題が生まれます。

 会社にはたくさんの部門があります。製造を担う部門にしても製品の数だけ部門があるかもしれないし、製造間接費を担う部門もあるでしょう。そして、通常、それぞれの部門に予算が立てられます。となると、製造ラインと製造間接費が分断されてしまいます。もし「製造間接費の配賦基準は作業時間です」という問題が出たら、この場合どのように考えればいいでしょうか? どの製造間接費をどの作業時間で割ればいいのでしょうか?

 その答えの一つが、直接配賦法という方法です。直接配賦法では、間接部門の予算を一定の基準で製造部門の製造間接費に割り当ててしまいます。たとえば、あるお店に、餃子部門・ラーメン部門・倉庫から食材を店に届けてくる部門(仮に倉庫部門とします)があったとします。倉庫部門に5万円の予算があったとして、餃子部門とラーメン部門が食材を届けてもらう回数がそれぞれ3回と2回だった場合、餃子部門に倉庫部門費3万円、ラーメン部門に倉庫部門費2万円を割り当てます。餃子部門やラーメン部門の製造間接費は、それぞれの予算にこの倉庫部門費を加えた数字になります。この数字をそれぞれの作業時間で割れば配賦率が算出される……という流れです。

原価差異

 で、上で書いてきた製造間接費というのはあくまで予算の話です。これでは正確な製造間接費が算出されることはほぼありえませんので、実際に生じた製造間接費と便宜上算出した製造間接費の差異を原価差異勘定として計上したりします。

仕訳

 概念は分かりましたけども、記帳はどうなるのですか?という疑問があると思います。基本的な形は商業簿記と同じです。つまり左に借方、右に貸方があって、それぞれに科目と金額を書きます。製造は資産を作っているわけなので、できたものは左に書きます。できたものの元となるものを右に書きます。

 唐突にセミの一生を書きます。

幼虫→蛹→成虫

 製品にもこのようなライフサイクルがあります。

材料→仕掛品→製品

 「しかけひん?びっくり箱のこと?」というのが普通の感想だと思いますが、違います。仕掛品というのは、上の図の通り、材料以上製品未満の状態のものを言います。餃子で言えば、タネだけ作った状態が仕掛品でしょうか。作りかけだから仕掛品と考えるとよいと思います。と思って、今Wikipediaを見たら「しかかりひん」と書いていました。思い込みって怖いですね。

 それはよいとして、材料から製品になるまでの間に、人件費やらなんやらがかかって原価は上昇していきます。

 そして、仕掛品が生まれる時に材料は消え、製品が生まれる時に仕掛品は消えます。ピカチュウライチュウになったらもうピカチュウはいないのです。

 何が言いたいかというと、製品ができる時、製品を左(借方)に書きます。代わりに、仕掛品は消えるので、右(貸方)に仕掛品を書きます。右側には他にも付随する費用が書かれ、製品の金額は仕掛品やそれらの費用の合計となります。

 各勘定についても同じです。たとえば、材料勘定の書き方は、左側が材料という形の資産の増加要因、右側にはその減少要因を書きます。増加要因は、在庫や仕入れです。減少要因は、材料が仕掛品になることです。つまり材料費です。仕掛品の場合は、逆に材料費や労務費、間接費などが増加要因になります。

まとめ

 私にとって工業簿記は未知の世界で、最初はなかなか戸惑いましたが、実はけっこうシンプルなのでは?という気がしてきた今日このごろです。が、勉強を進めていくうちにまた裏切られるかもしれません。

 

次回↓

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