たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

初めてのスリザーリンク

今週のお題「最近、初めて〇〇しました」

 

 朝日新聞デジタルの購読無料期間が終わったので(解約しそびれて一ヶ月余計に購読してしまった。)、新たに毎日新聞に登録してみた。

 エコノミーの日経新聞、エモーションの朝日新聞ときて、毎日新聞は両者の中間にある印象だ。ウォール・ストリート・ジャーナルの日本語訳版を読めるのもなんだかお得感がある。

 

 それはともかく、毎日新聞のサイトに「毎日パズル」なるページがある。私はパズルが好きなので、こういうのがあるとつい手を出してしまう。そこで私はスリザーリンクなるパズルに出会った。

 どんなパズルなのか……説明したい気持ちはやまやまだが、画像を勝手に載せていいか分からないから、リンクを貼って済ませよう。

mainichi.jp

 このページの冒頭にはこうある。

 スリザーリンクは株式会社ニコリが開発したパズルです。問題は、白地の背景の一部に0、1、2、3のいずれかの数字と、点が書き込まれています。点と点の間にタテヨコの線を引き、一つの輪っかを作るのがゴールです。

 四つの点で作られた正方形の中にある数字は、その正方形の辺に引く線の数を表しています。数字のない正方形には、何本の線を引くかわかりません。また、線を交差させたり、枝分かれさせたりしてはいけません。

 点と点を結んで線を引き、一つの輪っかを作るゲーム。

 なるほど。とりあえず線を引いていってみる。分かるところから一つずつ、線を引いていく。いずれ詰まる。

 そこで、「もしここに線を引いたらどうなるだろうか。成り立つだろうか。成り立たない。では、ここには線は引けないということになる。……」という風に仮定を置いて答えを導き出すという作業へ移行していく。

 これをやると、次第にパターンが見えてきて、頻出のものについては定理として記憶されていくことになる。私は上のページは見ずに取り組み始めたので、上のページに書いてある定理は自分で発見した。

 とはいえ、定理で解決できる範囲は広くないから、かなりの面積を自力で考えていくことになる。これを繰り返していくうちに、ゲームの本質が見えてくる。

 「線を引いて一つの輪っかを作る」と見ると、意識は「線を引くこと」に持っていかれがちである。これは素人の考えだ。(とスリザーリンク歴一週間の男が申しております。)

 本当に重要なのは、点である。点と点を結ぶとき、一つの点からは一本の線が飛び出る。さらに、それらの線が繋がって輪になるということは、結ばれる点からは必ず、二本の線が飛び出るということになる。一つの点には必ずたった一つの入口とたった一つの出口があると考えると分かりやすい。

 ここまで来ると、解けない問題はまずない。あとはいかに速く正確に処理できるかの領域になってくる。

 そこで満足してはいけない。「速く処理する」とはどういうことかを考えねばならない。このシンプルで分かりやすい標語は、実は二つの目標をごちゃまぜにして語っている恐ろしい言葉なのである。

 パズルを速く解くためには、次の二つのことを行わねばならない。

  • 処理速度を向上させる。
  • 処理のプロセスを減らす。

 「処理速度を向上させる」。これは分かりやすい。要するに、思考と手の速度を速めるのだ。基本的に、ひたすら演習を繰り返すことによって達成される。類似のパターンを何回も繰り返すことで、脳みそは自ずと考えなくてよいことを考えなくなっていく。(マウスを滑らかに動くものに買い替えるなど、演習以外の方法もありうる。)

 「処理のプロセスを減らす」とは、たとえば、スリザーリンクであれば、次のような解き方をしていたとしよう。

  1. 線を引けない箇所にバツを付ける。
  2. 上の処理によって、確実に線が引かれることが判明した箇所に線を引く。
  3. 上の処理によって線を引けないことが判明した箇所にバツを付ける。
  4. 2と3を可能な限り繰り返す。
  5. 二択になっている部分を起点に、色違いの線で仮の処理を施していく。
  6. 成立しなくなった場合、仮の線を消し、確定した部分に線を引いていく。
  7. 上記の処理を答えにたどり着くまで繰り返す。

 回答スピードを速めたければ、1と3は行わない方がよい。どれだけ超高速でやれたとしても、バツを付けるのには時間がかかる。同じ理由で5も行うべきではない。(厳密に言えば、行わないというよりは、手でやっていたことを脳内で行うという方が正確か。ここでは分かりやすさのために、脳内処理は処理プロセスに含めない。)

 1と3と5を削れば、処理のプロセスはおよそ半分に減るわけで、単純に考えれば二倍の速さで問題が解けるようになる。

 もちろん、思考の速度が速くならない限り、プロセスを省略することはできない。1・3・5は正確性を担保するための処理だったわけで、それを省略するのにはリスクもある。要するに、処理のプロセスを減らすことも、やはり演習を繰り返してこそ達成される。結局、「速く処理する」の一言で済ませても大差はないかもしれないが、プロセスを減らすという発想に至らずに非効率的な体制のまま修行を続けてしまう人はいるのではなかろうか。

 

 我ながら、一週間(平日はやっていないから実質的には二日)の経験でよくもまあここまで偉そうに語れるものだ。だが、私は同じようなことを以前にも経験したことがある。

 マインスイーパーや数独など、他のゲームに取り組むときも同じ過程を踏んできた。マインスイーパーを速くクリアしたいのであれば、フラグは絶対に立ててはならない。(そういう意味では、マインスイーパーと恋愛ゲームは真逆といえる。でも地雷を回避するという意味では、マインスイーパーと恋愛ゲームは同じともいえる。物事には多様な側面がある。)

 なんならゲームに限らず、仕事、いや、人生のあらゆる方面において同じことをやっている。

 やったことのないパズルに挑戦することは、新しい人生を生きることに等しい。