たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

アメリカ映画ベスト100制覇への道:その96 スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望

 田舎の少年が帝国に反旗を翻します。

 

 『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』は1977年の映画。監督・脚本はジョージ・ルーカス。主演はマーク・ハミルアカデミー賞編集賞美術賞・衣装デザイン賞・作曲賞・視覚効果賞・録音賞・特別業績賞を受賞。

 

 今朝、『プライベート・ライアン』はお姫様救出ストーリーだと書いたが、『スター・ウォーズ』こそまさにど直球のお姫様救出ストーリーである。

 お姫様は本当のお姫様で、悪の帝国に囚われている。しかも、主人公は騎士の一族の末裔。大筋としては王道中の王道だ。結局、大衆の心を捉えるのは王道なのかもしれない。

 とはいえ、古典的な物語をそのまま提供したわけではない。宇宙を舞台にした未来的な物語に書き換えたことで、新しい映画体験を提供した。それが『スター・ウォーズ』なのだ。

 未来と言っても、『2001年宇宙の旅』のような現実の延長線上にある物語ではない。一から新しい世界観を構築した、あくまでもファンタジー世界だ。

 『オズの魔法使』の時に書いたように、ファンタジーには有国籍性が重要であるように思われる。だからグローバル化が今ほど進展する前のちょっと古い世界観に偏りがちだ。近代以前の中国をモデルにしたファンタジーはあっても、現代中国をモデルにしたファンタジーはたぶんあまりない。そもそも現代の国をモデルにするなら、いっそのことその国を舞台にしてしまえばいいわけで、わざわざ新しい世界を一から構築し直す必要性がない。

 『スター・ウォーズ』はハイテクな機械がたくさん登場するから未来的な雰囲気がある。DELLのPCを見てアメリカを感じたり、NECのPCを見て日本を感じたりしないように、現代の工業製品から特定の国の匂いを感じることは難しい。だから物に注目すると、『スター・ウォーズ』は国籍性の制約から脱しているようにも見える。

 にもかかわらず、やはり『スター・ウォーズ』からは現実の国家の雰囲気が漂っている。

 主成分はローマだ。共和制から帝政に移行した社会や元老院の存在などの政治体制にそれが反映されている。ローマを題材にした映画といえば『スパルタカス』や『ベン・ハー』などの大作があるが、『スター・ウォーズ』にも大作の雰囲気がある。ビジュアルのチープさをオブラートに包んでくれている。

 二つ目の成分として日本がある。なんたってジェダイの騎士の服装は道着で、刀がアイデンティティなのだ。

 国の雰囲気を醸し出す方法にも色々あるのだ。