たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

連結修正仕訳その3

 今期末に子会社が保有する商品のうち親会社から仕入れた商品は200円であった。親会社が子会社に対して販売する商品の売上総利益率は50%であった。

 なお、連結会社間の債権債務残高および取引高は次の通り。

親会社から子会社

売上高400円

子会社から親会社

仕入(売上原価)400円

 

 前回は親会社と子会社の土地の取引に関する連結修正仕訳についてまとめました。

 

weatheredwithyou.hatenablog.com

  今回はさらに複雑に見える商品の取引について整理します。

 先に答えを出すと、以下のようになります。

借方 貸方
売上 400 売上原価 400
売上原価 100 商品 100

 

 問題は、なぜこのようになるのか?ということです。前回と同じく未実現利益を消去しているだけなのですが、商品になるとなんだか難しく感じられてくるのでまとめてみます。

 

 全体像を把握しやすくするため、上の状況において、

  • 親会社が外部から商品を200円で仕入れた
  • 子会社は外部に商品を400円で売った
  • 決済は全て現金払い

と仮に設定してみます。すると、以下のようになります。

表1

親会社
借方 貸方
売上原価 200 現金預金 200
現金預金 400 売上 400

表2

子会社
借方 貸方
売上原価 400 現金預金 400
現金預金 400 売上 400
商品 200 売上原価 200

 これをひとまとめにすると、

表3

合算
借方 貸方
売上原価 200 現金預金 200
現金預金 400 売上 400
売上原価 400 現金預金 400
現金預金 400 売上 400
商品 200 売上原価 200

となり、左右を相殺すると、以下のようになります。

表4

合算
借方 貸方
売上原価 400 売上 800
商品 200    
現金預金 200    

 

 しかし、親会社と子会社を一つの会社としてみた場合、本来は以下のようになるべきです。

表5

真の状態
借方 貸方
売上原価 200 現金預金 200
現金預金 400 売上 400
商品 100 売上原価 100

 左右相殺すると、

表6

真の状態
借方 貸方
売上原価 100 売上 400
商品 100    
現金預金 200    

 でありますから、このような形にするため、修正する必要があります。

 

 単純に考えると、親会社と子会社の取引を消す仕訳をすればよさそうです。結果は、表3から二段目と三段目を取り除いた形になります。

表7

取引のみを消すと
借方 貸方
売上原価 200 現金預金 200
現金預金 400 売上 400
商品 200 売上原価 200

左右を相殺すると、

表8

取引のみを消すと
借方 貸方
現金預金 200 売上 400
商品 200    

 表6とは全く違う形です。というわけで、親子間の取引を消すだけでは、上手く行かないことが分かりました。なぜでしょうか?

 子会社が原価あるいは商品として計上するときの基準が問題です。子会社は親会社から仕入れた時の価格をもとに計上しています。その仕入値には親会社の利益が上乗せされているので、これを放置するとおかしな結果になります。

 従って、子会社から親会社が仕入れた商品から、上乗せされた利益を消します。上乗せされた利益は、売上総利益率が50%であることから、

利益=200円×50%=100円

となりますので、

借方 貸方
売上原価 100 商品 100

これが、取引自体の修正仕訳に追加して必要になるというわけです。それをひとまとめにしたものが、冒頭の答えになります。