乃木坂46真夏の全国ツアー2025宮城公演に行ってきた。牛タン美味しい。寿司美味しい。萩の月美味しい。ずんだシェイク美味しい。玉澤総本店の黒砂糖まんじゅう美味しい。美味しい美味しい。
乃木坂の全国ツアーが当たる確率はいかほどか
そもそもチケットを当てるまでのことから書いてみたい。
申し込んだのは次の日程。
- 7/5(土) 北海道
- 7/12(土) 静岡
- 8/2(土) 宮城
- 8/9(土) 福岡
- 8/10(日) 福岡
- 8/16(土) 香川
- 9/6(土) 東京
- 9/7(日) 東京
基本的には翌日が休日である日のみを申し込んだようだ。それぞれ乃木坂46モバイル会員先行とのぎ動画会員限定プレミアムシートの両方を申し込んだ。
結果、宮城公演のみが当たったというわけだ。確率にして1/8。次回も全公演応募は必須だ。
しかし、この当たった一枚がまさかののぎ動画会員限定プレミアムシート! これは最前列付近が確約されているスペシャルなチケットなのだ! お値段は1万7千円と一般の1.5倍ほどの値段だが、価値を考えれば激安と言ってもいい。
最前列の奇跡
現場に行ってみると、そこは文字どおり最前列。最前列とは最も前の列ということだ。すなわち前に観客は誰もいない。乃木坂ちゃんと私の間を遮るものは柵だけ。水平距離にしておよそ3メートル程度ではなかろうか。長めに見積もってもせいぜい5メートルだろう。私の会社でいうと、隣の部署ぐらいの距離だ。
いつもなら肉眼では判別できないのに、今日は表情までよく見える。なんなら、メンバーがこっちを見て微笑んでいる気がしてならない。これが2時間続く。神。
だが、幸せな時間はあっという間に終わってしまう。2時間が0.01秒ぐらいに感じた。永遠に続いてほしいと思う空間にとって、2時間はあまりにも短すぎる。これまで参加した中で最も充実し、最も物足りないライブであった……。
果たして、今後の人生で最前列が当たることが何度あるだろうか? 一回もない可能性も高い。そう考えると、まさに奇跡的な出来事だったし、それがもう終わってしまったというのはあまりにも儚い。辛い。
最前列のデメリット=後方のメリット
とはいえ、最前列を体験した結果、最前列にもデメリットがあることが分かったので共有したい。裏返せば、後方座席にもメリットがあるということだ。
デメリットその1 目の前にいるメンバーに見惚れてしまう。
これまで全然気付かずにいたのだが、メンバーのステージ上の立ち位置は基本的に固定されている。
上でステージとの水平距離は3メートルほどと書いたが、これはあくまでステージを私を結ぶ垂線の長さである。つまり、私の正面を見た時の距離だ。ステージ上の最も遠い場所(たとえば下手から見た上手とか)はまあまあ遠い。私が体を斜め45度回転させたところにいるメンバーは、最も近い距離にいるメンバーと比べて√2倍遠いのだ!(直角二等辺三角形ABCのAが私、Bが近いメンバー、Cが遠いメンバーだ。)それでも、もちろん味の素スタジアムの2階席からとかに比べれば激近であることに変わりはないのだが、次のように考えてみよう。
私の目の前によくいたメンバーは矢田、愛宕、増田、大越、海邉、黒見、松尾さん。対して、私の推しメンである瀬戸口心月ちゃんや井上和ちゃんは反対側にいた。この時、私は距離1の矢田ちゃんと距離√2(あるいはそれ以上)の瀬戸口心月ちゃんのどちらを見るべきであろうか?
単純にメンバーの放つ魅力が距離と比例的に減衰すると仮定する。実際に距離でどのくらい魅力が変わるかを具体的にお見せしよう。
こちらが近いエビ。
こちらが遠いエビとその仲間たち。
ここはS-PALの寿司田。宮城県の沖合は親潮と黒潮がぶつかる一大漁場なんですって。うまうま。
それはともかく、私が向き合うべき問いは、同じ条件下において私にとって瀬戸口心月ちゃんは矢田ちゃんの√2倍以上魅力的なのかどうか?ということだ。
私は距離√2の心月ちゃんよりも距離1の矢田ちゃんを選んだ。矢田ちゃんはずっとニコニコしてて可愛かった〜。(ついでに言えば、黒見んは客席を一番よく見ていた気がする。絶対に良い子。みなさん、黒見明香を推しましょう。)
そもそも私は箱推しなのだ。それぞれのメンバーを好く度合いの差などわずかでしかない。必然的に、私は目の前のメンバーに釘付けになってしまうのである。
だから、どんな曲でもセンターじゃなくて端っこのメンバーを重点的に見てしまう。ステージを俯瞰してみることなど到底できないのだ! 私が楽しんでいたのはメンバーを眺めることであって、ライブではなかったのかもしれない。
デメリットその2 メインステージが使われない間は置いてけぼり感
乃木坂のライブでは遠くにいる観客のためにステージを移動したりトロッコに乗ったりすることがよくある。ハズレ席の観客にとっては非常にありがたい演出だ。これがなければ私も真夏の全国ツアーに参戦しなかったかもしれない。
その間、メインステージを使わない場合がある。この時、最前列からは、メンバーの後ろ姿を眺めることになる。単に遠いだけじゃなくて、後ろ姿を眺めるのは少しだけ置いてけぼり感がある。2時間ずっと間近で見られることを考えれば、それくらい全然我慢できるのだが、遠方の席ではない感覚ではある。
ライブを満遍なく楽しめるのは遠くの席かもしれない。
というわけで、ステージ全体をライブの間中絶え間なく楽しめるのは、実は遠くの席の方なのかもしれない。
最前列とは、顕微鏡に喩えることができるかもしれない。顕微鏡を覗けば普通では見られない景色を見ることができるが、視野は狭まってしまう。最前列が最善とは限らないのだ。
まあ、次も最前列が当たるなら絶対そっちを選びますけども。
地方公演は神席だらけなのでは
ところで、セキスイハイムスーパーアリーナは見たところなかなか小さい会場に見えた。ホームページを見ても、観客席は固定席5011席とある。これの一面がステージで封鎖され、代わりにフロアに座席を配置するわけだが、それでも座席は1万もないのではないだろうか。
このサイズで花道があり、トロッコがあるのだ。ついでに言えばステージの一番端は2階建てになっていて、2階席からかなり近い。
これは、もうこの会場のチケットが当たった時点で勝ち確なのでは?ということを思った。
ところで、先日、櫻坂の東京ドームライブに参戦した。例の如く、最高峰(最後方)の座席。その時に私が感じたのが果てしない距離であることは言うまでもないだろう。トロッコが一番近くに来ても遠い。メンバーからこちらが見えているとは思えない。こちらからもあちらが見えていないのだから。
乃木坂は味の素スタジアムで客席に出現してくれたが、東京ドームでは無理だなと思った。東京ドームは階段の傾斜が急で、シュバっと現れてシュバっと去ることができない。出入りが容易な通路からでは最上段の座席はかなり遠い。(他の会場だと横浜スタジアムやさいたまスーパーアリーナも同じような構造だったと記憶している。)
私はこれまで経済効率上の観点から東京ドームのような広い会場の方が優れていると考えていたし、ひいてはそういう会場で公演できるアーティストの方が優れていると考えていたのだが、もっと大事なことがあるのではないかと思わせられた。音のみで魅せるアーティストならシンプルにさいたまスーパーアリーナより東京ドーム、東京ドームより日産スタジアムと考えればいいのかもしれない。しかし、アイドルの場合、果たして会場が広くなればなるほどよいのか? 短期的に見れば間違いなく日産スタジアム公演が一番儲かるに違いない。だが、顧客満足度はどうか。おそらく日産スタジアムよりもセキスイハイムスーパーアリーナの方が高い指標を叩き出すのではないだろうか。もしかしたら、長期的に見ればドームツアーは必ずしもアイドルに利益をもたらさないかもしれない。乃木坂がなぜ完売できるはずのドームツアーをめったに行わず、明治神宮野球場という相対的に狭い野球場を本拠地にしているのか。その理由の一端に触れた気がした。
この賀喜遥香ちゃんを撮影しているオタクに対して、地元のお婆さんが「この子はあまり人気ないんでしょ。だって久保史緒里ちゃんはどうたらこうたら」と話しかけていた。宮城の婆様にとって、久保ちゃんこそがスーパースターなのだ。故郷に錦を飾った久保ちゃんの偉大さを思うと、視界が滲んだ。