前回、『チートデイ』の選抜から興味を持って、これまでの乃木坂46における選抜の状況を振り返ってみた。
そこで今度は選抜に落ちたメンバー=アンダーについて考えてみたい。なお、現時点でアンダーのフォーメーションは未発表だ。
現状確認
まず、今回のアンダーメンバーは以下のとおり。
- 伊藤
- 佐藤楓
- 中村
- 向井
- 吉田
- 黒見
- 佐藤璃果
- 柴田
- 林
- 松尾
- 矢久保
- 岡本
- 奥田
計13人。
この面子のパワーバランスを把握するために、前回のフォーメーションを確認してみよう。
- センター:筒井
- センター横:菅原・冨里
- 2列目:小川・中西・金川・柴田・黒見
- 3列目:岡本・奥田・松尾・林・佐藤璃果・矢久保・清宮
前回は山下美月卒業シングルの煽りで、アンダーに人気メンバーが多く流れ込む形になった。その反動で、筒井から金川までの上位層が今回ごっそり抜けた。
今回のアンダーメンバーだけを記すと、次のようになる。
- 2列目:柴田・黒見
- 3列目:岡本・奥田・松尾・林・佐藤璃果・矢久保
これだけ見れば、序列としては柴田と黒見が優位にいるように見える。
前回は卒業シングルとあって若干歪なので、前々回のフォーメーションも見てみよう。
- センター:中西
- センター横:松尾・小川
- 2列目:清宮・佐藤楓・伊藤・中村・阪口
- 3列目:岡本・奥田・林・佐藤璃果・矢久保・吉田
2列目は3期生が多いが、松尾がその上を行っている。なお、柴田と黒見はこのとき選抜だった。向井も2連続で選抜入り。
というわけで、直近2シングルからは次のような序列が想定できそうだ。
上位:柴田・黒見・向井・松尾・佐藤楓・伊藤・中村
下位:林・佐藤璃果・矢久保・吉田・岡本・奥田
センター
現在のおおよその序列が確認できたところで、センターを予想してみよう。
センター未経験者
3期生が参入して以降(20th以降)の期間で、アンダーセンターを2回以上務めた人間は寺田蘭世のみ。近年はアンダーセンターをなるべく回していく思想だと仮定すると、センター経験者が今回センターに選ばれる確率は低い。センター経験者は次のとおり。
- 松尾
- 林
- 伊藤
- 中村
- 佐藤楓
したがって、上位メンで未経験者は柴田・黒見・向井の3人となる。
選抜落ち直後のメンバー
最近はアンダーセンターは選抜落ち直後の人間が務めるか、直後2シングル以内で選抜入りを果たす傾向にある。
35:筒井=34th選抜
34:中西=36th選抜
33:松尾=32nd選抜
32:林=31st選抜、伊藤=33rd選抜
31:中村=33rd選抜
30:和田
29:佐藤楓=30th選抜
28:寺田
今回、選抜落ちは3期生のみで、そのうちセンター未経験者は向井と吉田のみ。
以上の事情を考慮すると、向井がセンター最有力候補に見えなくもない。
4期生または5期生?
ただし、直近3作で4期生以下がセンターを務めていることを考えると、32ndの林と伊藤のダブルセンターをもって、アンダーセンターの座は4期生以下に任せる方針になった可能性を感じなくもない。もし仮にそうだとすれば、センターは柴田か黒見が有力だ。
次回か次々回で選抜に上げる可能性を考慮しても、柴田と黒見なら十分ありうるのではないだろうか。
3列目からの抜擢はまずない
ほかの4期生や5期生がセンターに来る可能性はどうだろうか? たとえばミュージカルの評判が良かったっぽい奥田を抜擢するとかはありえそうに思える。ただ、歴代で3列目からセンターに昇格したケースは和田のみ。和田は最後のシングルだったから特殊な例だとすれば、ほかのメンバーがセンターに来る確率は0に近い。
逆に言えば、もしそうなったら異例の大抜擢と言える。だからこそ面白いと思うかもしれない。ただ、3列目からセンターに引っ張り上げてアンダーライブの座長を任せるよりは、選抜に入れた方がおそらく負担が軽い。実際、アンダー3列目からの選抜入りは最近になって行われるようになり、冨里と林が経験している。より良い抜擢の方法があるのだから、下位メンバーからのセンターはないと思われる。
フロント
センターとフロントには似たところとそうでないところがある。
似ていないところは、経験者が再度務めることがあること。
似ているところは、選抜落ち直後の人間が務めるか、直後2シングル以内で選抜入りを果たす傾向にあること。ただし、選抜入り以外に、再びアンダーフロントに選ばれるという取り立てられ方も加わる。そのため、アンダーのフロントを何度か務めるが、選抜にはたまに入るぐらいという者もいる。
直近3作は4期生以下から選ばれていることも似ている点だ。ただし、その3作品でフロント入りをしたメンバーは、筒井・菅原・冨里・小川・中西・松尾。松尾を除くと、本来なら選抜に入るべきなのになんらかの理由でアンダーに留まることを余儀なくされたメンバーたちにも見える。そう考えると、3期生が選択肢から排除されているわけではない可能性も十分にある。
また、3列目からの昇格が稀であることも似ている。2作連続で3列目の岡本・奥田・林・佐藤璃果・矢久保が入ることはまずないと言ってよさそうだ。松尾も前作で3列目だったので統計的には望み薄。
というわけで、フロントは松尾を除く上位メンバーの中から選ばれることになるだろう。といっても、個人的には柴田・黒見・松尾の3人を推したいところだ。前回のシングルは特殊だったから松尾のフロントもあるんじゃないかという願望を抱いている。
2列目と3列目
今回は13人なので、おそらく3-4-6のフォーメーションとなる。2列目は4人、3列目は6人。
上位メンバーからフロント3人を除いたら4人になる。これをそのまま2列目に配置するか、それとも下位からの引き上げがあるかが問題となる。
3列目から引き上げられる可能性が比較的濃いのは、林・佐藤璃果・奥田の4人か。
林はセンター・フロント・選抜入りの実績がある。直近2連続で3列目になったのは、休業明けだからなのか、それとも別の理由によるものなのか。
佐藤璃果も選抜入りの実績がある。が、そこからは下降曲線。もともと2列目以上にいたのに、一度選抜に入ってからは2列目を経て、2作連続で3列目に。
奥田は5期生だし、ミュージカル出演で波が来ているし。それに、シングルに参加して4作品を経ているのでそろそろ上がっておきたい。デビューから4連続で最後列だったメンバーは歴代でも、鈴木・伊藤純奈・佐々木・伊藤かりんのみ。鈴木を除く3人は選抜に入らずに卒業することとなった。
下位からの引き上げがある場合、上位からの引き下げもあるわけで、誰を下げるかという問題が生ずる。ところが、佐藤楓・伊藤・向井・中村は直近6作でアンダー3列目に立っていない。全員選抜や3列目がなかった作品もあるが、それを差し引いても簡単には3列目には下がらなそうな雰囲気はある。
上位と下位の入れ替えがない可能性もけっこうある気がする。
予想
以上を踏まえて、アンダーのフォーメーションを予想してみる。
岡本 吉田 伊藤 中村 佐藤璃 矢久保
奥田 林 向井 佐藤楓
黒見 柴田 松尾
まず、柴田のフロントは確定。仮に上のとおり黒見との2択なら柴田がセンターかなと。向井と黒見が2列目以上なのも確定ではないかと。その上で、選抜が5期生中心になってしまったので、アンダーは4期生中心で臨んでほしいということでフロントは4期生で固める。傾向から、林がフロントはまずないけど2列目には上がってほしい。奥田も選抜を見据えて2列目に上げておきたいかな~みたいな考え。
ただ、大事なのは予想が当たるかどうかではない。なんらかの仮説を立てて、予想をしておくという、このプロセスに意味がある。そうすれば実際のフォーメーションが発表された時、予想とのギャップが生まれる。ギャップの原因を考察し、誤った仮説を補正することで運営の考えにより近づくことが可能となるかもしれない。なにより、予想が外れると悔しいし、当たれば楽しい。何もしなければただの情報でしかないフォーメーションが、これだけのエンターテイメントになるのだ。
……とか偉そうなことを書いているけれど、じっくり腰を据えて予想するのなんて今回が初めてなので、答え合わせをしてどういう感情になるのかは分からない。「よくわかんねー。めんどくせー」となる可能性も大いにある。
余談
今回、全シングルのアンダーメンバーの配置も大雑把ながら調べたので、そこから得た知見を書いてみる。
乃木坂は格差社会
とっくに御存知なんだろ?とは思うが、乃木坂46は格差社会だ。
というのは、選抜とアンダーの入れ替わりは境界にいるメンバーだけが味わうもので、選抜メンバーの殆どはずっと選抜に留まるし、その分だけアンダーに定着してしまうメンバーも多い。
これまで乃木坂46には85人のメンバーが在籍してきたのだが、選抜率*1100%のメンバーが22人もいる(36th現在。現役メンバー含む。以下同じ。)。全メンバーの25%以上がアンダーに落ちたことがないのだ。
もうちょっと条件を緩めてみると、選抜率80%以上のメンバーは32人。40%近いメンバーが選抜の常連となる。
対して、選抜率0%のメンバーは10人。これは少ない。選抜率10%以下は18人。これも少ない。が、選抜率20%以下となると、一気に33人に上る。40%近いメンバーが選抜の常連になるが、それと同じぐらいのメンバーがアンダーの常連になるのである。
逆に言えば、選抜率が20%より大きく80%未満のメンバーは20人しかいないということになる。乃木坂にはたまに選抜される人かたまに選抜されない人がほとんどで、半々くらいの確率で選抜される人はほとんどいない。
参考までに選抜率が40%~60%の間のメンバーは冨里、清宮、北野、斉藤優里、伊藤万理華、市來の6人。
選抜率の低いメンバーは退職が早い
選抜率が低いと、やはり卒業は早くなる傾向にあるようだ。
選抜率0%のメンバーの参加シングル数の平均が8.8なのに対し、選抜率100%のメンバーは14.8。
もうちょい幅を広げて、選抜率20%以下のメンバーの参加シングル数の平均は12。選抜率80%以上のメンバーは15。
まあ、現役(特に5期生)を含めていたり、母数が少なかったり、あまり参考にならない数字かもしれないが。
選抜の下にも三年
選抜率が低いから卒業が早いのか、卒業が早いから選抜率が低いのかという問題もある。
たとえば、衛藤は8枚目シングルまで1回しか選抜されていないが、9枚目以降選抜落ちがなくなった結果、選抜率は68%を記録している。
新内を選抜の常連と記憶している人も少なくないだろうが、選抜率は67%。実は参加した最初の8枚では1回しか選抜されていない。
樋口は選抜率こそ27%と低いが、ラスト6枚で5回選抜されている。そこに至るまで24枚も耐え忍んだ結果だ。
鈴木も選抜率32%だが、やはりラスト4枚で連続して選抜されている。これも15枚のシングルのほとんどをアンダーで過ごした後の話である。
耐え忍べば、選抜率が上がる可能性はあるのだ。もちろん、和田のように30枚も参加してわずか2回しか選抜されない例もある。いつか選抜されるまで耐えるのか、別の道を探すのか、どちらが良いとまでは言えない。
衛藤たちと和田の違いは、アンダーでのポジションだ。和田はアンダーでも最後列が定位置だったのに対して、衛藤たちはそれより前の位置であることが多かった。
ちなみに、パット見の印象ではあるが、アンダーでの地位が高いメンバーはアンダー常連で終わったとしてもわりと息が長い傾向にある。2期生では3列目率がかなり高かった相楽、伊藤かりん、佐々木が先に卒業し、3列目率の低い渡辺、寺田、山崎がその後に続いている。1期生でも和田と川後を除くと、おおむね最後列率が低いメンバーの方が長寿。
というわけで、アンダー内のポジションも高いに越したことはない。「みんなに長く活動してほしい」「多くのメンバーに選抜に入ってほしい」という観点から見れば、アンダー内でのポジションが流動的である方が良いのだ。今回のフォーメーションも、下位メンバーの昇格があるか要注目だ。
*1:選抜されたシングル数/参加したシングル数