たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

お金が大好きな皆さんには『LIAR GAME』をオススメします。

 「FOD(フジテレビオンデマンド)で観るべき作品を教えて!」とな。

 

 まず、そもそもFODとはなんなのか? FODはその名のとおりフジテレビが運営する動画配信サービスである。

 このたび会員数100万人を突破したとのことだが、このサービスは月額976円だから、単純計算すると、フジテレビはFODで毎年120億円も稼ぐことになる。

 とてつもない金額に思えるが、フジ・メディア・ホールディングスの売上は5000億円を超える。フジテレビにとってFODはまだまだ主力事業というにはほど遠い。しかし、業界最大手の一角であるネットフリックスは2020年に日本で500万人の会員がいたようなので、会員数100万人のFODにはまだまだ成長の余地があるはず。フジテレビには50年以上にわたる歴史の中で制作してきた魅力的なコンテンツの数々があるのだから。

 ちなみに、主要テレビ局の売上は2022年現在、NHK>フジテレビ>日テレ>TBS>テレ朝>テレ東の順になっている。NHKの受信料収入はおよそ7000億円前後にもなる。では視聴率のランキングがどうなっているかというと、これは日テレ=テレ朝>NHK>TBS>フジテレビ>テレ東の順だ。*1売上ランキングと視聴率ランキングの順序が一致しないのは、単純に各局ともテレビ事業だけをやっているわけではないことによる。地上波放送の収入に限って言えば、フジテレビは2000億円で、日テレは2500億円くらいになる。そうなってくると改めてNHK7000億円がとんでもない数字であることが分かる。

 NHKのビジネスモデルは、視聴者から対価を得るという点で、民放のテレビ事業(=広告ビジネス)よりはFODのビジネスモデルに近い。NHKの強みはなんといっても、テレビを持つ日本在住者から半強制的に契約を結ぶことができること、それゆえに料金を高めに設定できることだ。NHKの受信料はBSが見られる場合、年間24000円。FODの会費の倍以上である。しかも、FODはいつでもどこでも見られるのに対し、NHKはリアルタイムでしか見られない。お、恐ろしい……。これが公共放送……。ただ逆に考えれば、NHKはFODのビジネスモデルの究極形を実現していると考えることもできる。もしFODがNHKの契約者の半分にでも支持されれば、今の料金のままでも7000億円の四分の一、1700億円くらいの売上を確保できる。こうなれば地上波放送に匹敵する一大ビジネスになる。目指せNHK。FODの旅はまだ始まったばかりだ。

 

 やっぱりお金の話はテンションが上がるぜぇ~~~!!

 

 というわけで、私がおすすめしたいのはお金にまつわるドラマLIAR GAMEだ。

 『LIAR GAME』はいわゆるデスゲームものだ。主人公たちは謎の組織から強制的に金を貸し付けられ、その金を使ったゲームを戦うことを強いられる。勝てば大金を得るが、負ければ莫大な借金を背負う羽目になる。

 これだけだと『カイジ』に似ているように見えるが、違うのは『LIAR GAME』のゲームには一貫したテーマがある点だ。『LIAR GAME』ではどのゲームにも、参加者たちが全員で協力すればみんなが無傷でゲームを終えられる道が用意されている。それと同時に、他人を裏切ればより確実に大きな利益を得られるようにもなっている。が、裏切られた者は大きく損をする羽目になる。ゲームの参加者は囚人のジレンマに陥るのである。この状況においても、他人を信じることができるか?が『LIAR GAME』のテーマだ。

直ちゃん……君は本当に……バカだよねえ!

 みんなが無邪気に信じ合えば誰も苦しまないのに、ズルをする誰かのせいでみんなが苦しむことになる。これはゲームではない。現実の社会の縮図だ。誰かがテレビを使って悪さをするかもしれないという疑念がなければ、この世に公共放送はいらないかもしれない。誰もがきちんと期限内に受信料を支払えば、NHKの受信料はもっと安くなるかもしれない。だが現実はそううまくいかない。なんとも世知辛い世の中だ。それだけに、ライアーゲームで行われるゲームはただの金持ちの道楽を超えた迫真性を持っている。

 だからこそ、天才詐欺師の秋山深一の名台詞が光るのである。

このゲームには必勝法がある。

 ライアーゲームの事務局から提示される困難なゲームに対し、すぐさま必勝法を見つけ出してしまう秋山。その姿を見ていると、VUCA(変動的で不確実で複雑で曖昧に思える状況)の時代であっても、頭を使えば必勝法を見つけられるのではないか? そう思わせてくれる力がこのセリフにはある。

 もしあなたが『LIAR GAME』をまだ見たことがなければ、FODの会費を払う価値があるかどうか迷うに違いない。そんなあなたに必勝法を用意してある。まずは、Amazonで『LIAR GAME』の原作を読むのだ。現在は3巻まで無料で読めるから、試しに読んでみるといい。これが面白かったら、ドラマ版『LIAR GAME』もきっと楽しめるに違いない。

 ドラマ版ならではの魅力を挙げると、なんといってもBGM。BGMが最高。それもそのはず。音楽はあの中田ヤスタカが担当しているのだ。『LIAR GAME』くらいサントラを聴きたくなるドラマはなかなかない。


www.youtube.com

 主演は戸田恵梨香。当時の戸田恵梨香は『デスノート』で有名になりだした頃。小畑健が描く美少女ミサミサを、実写版では誰が演じるのか? 原作の読者から厳しい視線が集まっていた当時。にもかかわらず、キャストが発表されると、おおむね好感を持って受け入れられた(気がする)。それくらいピチピチフレッシュだった頃の戸田恵梨香のドラマ初主演作品が『LIAR GAME』なのだ。同じく『LIAR GAME』でドラマ初主演を果たしたのが松田翔太。もはや売れっ子の二人だからこそ、今フレッシュな頃の姿を観ると面白いかもしれない。ただ本当に注目したいのは、完全に主役を食っている鈴木浩介の怪演だ。香川照之の大和田常務や堺雅人の古美門研介など、世の中にはハマり役というものがあるが、鈴木浩介のきのこはハマり役中のハマり役といっていい。

 FODで観るべき作品は『LIAR GAME』で間違いなし!