たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

組織の新陳代謝について 櫻坂46『UDAGAWA GENERATION』と日向坂46『卒業写真だけが知ってる』と岩本蓮加活動休止

 会社で「たくさんの若手を昇進させたい」と思った時にしなければならないことはなんだろうか?

 新しいポストを作るというのが一つの手段だ。だが、そんな手段をいつも取れるとは限らない。それができないときは?

 答えは、できるだけ高い地位にある人間を退任させることだ。

 

 一人が退職すれば別の一人にチャンスが与えられる、と考えている人がいるかもしれない。

 しかし、それは誤りだ。

 一人退職者が出ると、その人のそれまで上ってきた階段の数だけポストが空く。

 例えば、係長、課長、部長とヒエラルキーがあるとしよう。係長が退職した時は、その穴に別の誰かが入るだけだ。だが、部長が退職すると、部長が抜けた穴に課長から一人選ばれて入る。さらに、その課長が抜けた穴に係長から一人選ばれて入る。さらにさらに、その係長が抜けた穴にその下から一人選ばれて入る。部長の退職は係長の退職の3倍インパクトがある。

 

 さて、昨夜、櫻坂46の11枚目シングル『UDAGAWA GENERATION』のフォーメーションが発表された。

 センターは森田で、サイドを山崎、藤吉が固める。2列目には田村と守屋と谷口、前作でフロントだった山下と的野が入る。3列目は村井、村山、向井、大園、松田。前作5列目の中嶋が前作BACKSセンターの村井と入れ替わり、武本が脱落したという形。

 要するに、ほぼ変化がない。森田・山崎・藤吉トリオを再びフロントに起用したことと、選抜の枠が減った煽りを武本が受けたというだけの話だ。選抜の枠が減ったのは、1期生の齋藤、上村が卒業し、11枚目の活動には参加しないから。

 櫻坂はこれまでも2期生がグループを牽引してきたし、彼女たちはまだまだ若い(最年長が田村で今年27歳)。森田・山崎・藤吉が復権するのは予定されていた流れだろう。そもそも櫻坂は新陳代謝をまだ必要とはしておらず、むしろ人口減少が喫緊の課題だと言える。

 

 対して、先月発表された日向坂46の13枚目シングル『卒業写真だけが知ってる』のフォーメーションはどうか。

 まずセンターは小阪、サイドを正源司と藤嶌。2列目が金村、松田、ダブル佐々木、河田。3列目が宮地、平尾、山下、森本、山口、上村という布陣。

 人口減少に喘いでいるのは日向坂も同様で、選抜枠が一つ減った。その結果、小西と高橋が選抜落ち。が、代わりに、宮地、平尾、山下、森本、山口の5人がアンダーから選抜入りをし、河田と佐々木久美は3列目から昇格したという具合だ。2名の降格に対し、7名も昇格している。

 なぜ櫻坂ではほとんど勢力図が変わらず、日向坂では多数の昇格が生じたのか?

 そう、退職者の位が高かったからである。

 前作から減ったメンバーは丹生、濱岸、加藤、東村の4人。このうち丹生と加藤は2列目以上の常連だったので、彼女たちの退職は、2列目昇格メンバー2名とアンダーからの選抜入り2名の発生を意味するのである。一方、櫻坂で卒業したのは選抜入りすることなどないメンバーだったので、昇格する者は一人もいないというわけだ。

 このように、ただ古き者が去れば新陳代謝が図られるわけではない。上位役職者が去らない限り、それは起こらないのである。(日向坂に新陳代謝が必要だったかどうかはまた別の話。)

 

 さて、先日、岩本蓮加が活動自粛を発表した。

 これのインパクトは大きい。なぜならば、岩本は2列目の常連だからである。前作では中西に押し出される形で3列目に下がっていたが、もし仮に本来であれば次のシングルで岩本が2列目に戻る計画だったとすればどうだろうか。岩本の一時離脱は2列目への昇格1名、選抜入り1名の発生を意味するのである。

 ついでに言えば、与田も卒業を発表しており、おそらく次作では活動しない。与田も2列目固定メンバーだったので、やはり岩本離脱と同じ余波が生じる。

 つまり、(選抜枠の減少を考慮しなければ)2名の2列目昇格と2名の選抜入りが期待される。それによって降格する者は一人としていないのだ。

 櫻坂や日向坂に比べて大所帯の乃木坂にとって、人口減少はさほど問題ではない。アンダーの人数は少ないが、近々6期生の加入も予定されている。むしろ優秀な人材が多すぎて選抜の競争が苛烈になりすぎることを私は懸念していた。(まだまだ枠が足りないくらいだ。)その状況を考えれば、他のグループに比べて新陳代謝をより必要としていたのが乃木坂であるはずだ。

 アイドルグループにおいては、新陳代謝には必ず痛みが伴う。それでも、私は乃木坂という組織がこの痛みと共に活性化することを期待したいし、楽しみながら眺めたいと思うのである。