たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

紅白出場も決まったので緑黄色社会の魅力について書く

 紅白歌合戦の出演アーティストが決まった。

 今回、私が注目したいのは初出場の緑黄色社会である。

 私は今年からアルバムを聴き始め、この数カ月間、毎日緑黄色社会の曲を聴いている。逆に他のアーティストの曲は髭男の『ミックスナッツ』と『Subtitle』、米津玄師の『KICK BACK』あたりをYouTubeでたまに聴くぐらいだ。それぐらい私の生活の音楽面は緑黄色社会に侵食されてしまっている。

 そんなんだから、緑黄色社会と髭男は今年の紅白に出る!と信じていたわけだが、まさにそうなった。世間的にも今、リョクシャカが熱い!はずなのである。

 それにもかかわらず、いまだに緑黄色社会の魅力に気づいていない人々もまだまだ多いに違いない。

 というわけで、私の思う緑黄色社会の魅力について書いていきたい。

ボーカルの歌唱力がすごい

 緑黄色社会の一番の特徴はボーカルである長屋晴子の圧倒的な歌唱力である。

 長屋晴子の歌唱力が顕著に発揮されているのがTHE FIRST TAKEで披露した『Shout Baby』だ。


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 この動画、半分丸々アカペラなのである。楽器の音がないからこそ純粋な素材の良さが分かりやすい。歌だけなのに引き込まれる。一人の人間の声だけとは思えない豊かさがある。これが長屋晴子なのである。(逆にアカペラを長いこと聴いたあとだから分かる演奏の良さもある。)

 国内のトップアーティストが勢揃いする紅白では、良くも悪くも歌手の歌唱力が白日の下に晒されることになる。CDや動画ではなんとなく上手く聴こえていたりしても、紅白だと「あれ……そんなに上手く聴こえないな……」と複雑な気持ちになったりすることもある。逆に本当に実力がある場合は「やっぱり上手いなあ!」と改めて感心することになる。したがって、初出場のアーティストのファンはハラハラしながら紅白を見ることになる(それが楽しかったりもするのだが)。

 だが、緑黄色社会の場合は歌唱力に関する不安がない。緑黄色社会ファンは「さあ、長屋晴子の歌声を全国に届けてくれ!」と自信を持って紅白を待っているに違いない。

 ちなみに、緑黄色社会は高校の同級生で組んだバンドなのだが(厳密に言うと穴見真吾だけ別の高校だが)、組んで間もない頃、もともとボーカル志望だったギターの小林壱誓は長屋晴子の鼻歌を聴いた瞬間に「このバンドでは歌えないんだ」と悟ったというエピソードがある。

 紅白の場合、普通のステージより緊張するという面もあるが、長屋晴子はいつも「緊張する」と言っているので、たぶんあまり影響はないだろう。

ビジュアルが良い

 上の動画を見た人はもうお気付きだろうが、長屋晴子は歌が上手いくせにルックスも良い(他のメンバーもわりと良い)。耳だけでなく目でも楽しませてくれるのが緑黄色社会なのである。


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 ちなみに、『Shout Baby』も『Sabotage』も長屋晴子の作詞作曲だ。どんだけ多才なんだ、長屋晴子!

 THE FIRST TAKE以外だと『リトルシンガー』のMVがおすすめだ。

 長屋晴子が女子高生の顔を覗き見るカットがあるのだが、女子高生目線だとどう見えるかを想像するとニヤニヤせずにはいられない。


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 最近の動画をひとしきり見た後にこのMVを見ると「みんな若いなあ……」ともなるので、定期的に見たいMVだ。

メンバー全員が作曲できる!

 ここまで長屋晴子長屋晴子とばかり言ってきたが、それは初見にとって一番分かりやすい要素がフロントマンだからに過ぎない。

 緑黄色社会の最大の魅力は、メンバー全員が作曲できることにある。しかも、ただ作曲できるだけじゃない。ヒットする楽曲を作れるのだ。

 たとえば、緑黄色社会の最大のヒット曲である『Mela!』。


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 この曲は作曲がキーボードのpeppeとベースの穴見真吾の共作で、作詞が長屋晴子とギターの小林壱誓の共作。まさに緑黄色社会全員で作った曲だと言える。緑黄色社会は誰一人欠けても緑黄色社会ではないのだ。

 余談だが、『Mela!』の歌詞を聴いていると「『僕のヒーローアカデミア』とタイアップしてそ~」と思う人も多いだろうが、『ヒロアカ』とのタイアップ曲なのは『Shout Baby』で、『Mela!』は『ヒロアカ』とは何の関係もない。

 

 『Mela!』の成功を受けて、同じパターンで作られたのが『キャラクター』だ。『Mela!』は2年前の曲なので、今年の紅白で歌われるのは『キャラクター』が最有力のような気がする。


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 振り付けのある楽曲なので、紅白の舞台でどっかのダンサーか日向坂46あたりとコラボしている画が容易に想像できる。

 

 全員が作曲できると何が良いのかというと、曲が多彩になる。当たり前だが、作曲者が異なれば楽曲のテイストも変わってくる。緑黄色社会の場合、共作もできるので、数学的には4C1+4C2+4C3+4C4=15パターンの作風がありうる。一つのアルバムに収録される楽曲数が12前後なわけだから、これはなかなか飽きがこないわけである。

 飽きが来ないだけじゃなく、新曲が発表された時は「これは誰の曲だろう?」と考える楽しみ方もできたりする。味わい深いっすわあ……。

初期の曲もいいよ

 緑黄色社会は近年になって注目されだしたバンドだが、実は結成10周年だったりする。上で述べたとおり、高校で結成されたバンドなので、プロとしての活動期間はもう少し短いものの、そこまで若いバンドではないわけだ(とはいえ、10代限定の音楽フェスである閃光ライオットで2013年に準グランプリに輝いているので、知っている人はこの頃から知っているようだ)。

 全国に音源を流通させたのは2017年のこと。ファーストミニアルバム『Nice To Meet You??』がタワーレコード限定で発売された。プロとしての活動はここがスタートというのが一般的な認識ではなかろうか。

 初のシングルは2019年に発表された『Sabotage』。これがドラマ『G線上のあなたと私』とタイアップしていたので、おそらく世間的な知名度を得たのはここらへんからだろう。

 『Sabotage』が収録されたアルバムが2020年に発表された『SINGALONG』で、この中で『Mela!』や『Shout Baby』も聴ける。

 というわけで、緑黄色社会を聴くならまずは『SINGALONG』から入るのがオススメなのだが、それゆえにファーストアルバムである『緑黄色社会』の影が薄くなりがちである。

 だが、『緑黄色社会』もなかなか良曲が揃っているのでリョクシャカが好きならば、ぜひ『緑黄色社会』も聴いていただきたいところだ。

 というわけで、『緑黄色社会』から特にオススメの2曲を紹介する。

 まずは『始まりの歌』だ。


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 緑黄色社会らしくエネルギーを貰える楽曲。この曲を聴いていると、タイトルのとおり、何かを始めたくなる。

 『緑黄色社会』は長屋晴子作詞作曲の曲が大部分を占めていて、かなり長屋晴子色の強いアルバムだ。最新アルバムの『Actor』は各メンバーが2~4曲ずつ作曲しているので、だんだんと長屋晴子の緑黄色社会から四人の緑黄色社会へと変化していっているのかもしれない。それはともかく、『始まりの歌』もご多分に漏れず、長屋晴子の作詞作曲である。

 そして次の曲もそう。『またね』だ。


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 『Mela!』や『キャラクター』を聴くと明るい・パワフルなイメージが強めな緑黄色社会だが、『またね』は対照的にかなりネガティブな楽曲だ。

 「私、あなたの前でずっと笑ってそれ以外の顔出せなかった」から始まって、ひたすら鬱々としたまま「またね」と終わる。

 しかし、だからこそ力強い歌声の美しさが際立つ。ネガティブな感情を振り払うように歌う姿には、弱さと力強さとが同居している。

 むしろ、この徹底してネガティブな歌詞にこそ長屋晴子らしさが詰まっているような気がする。長屋晴子のエネルギーの源は負の感情にこそあるのではないか。

 緑黄色社会の美味しいところを凝縮させたのが『またね』なのだ。

 

 そんなわけで、緑黄色社会をまだ深く知らないという方はぜひ、年末になる前に緑黄色社会を聴いてみてはいかがだろうか。

 

 正直、今年から聴き始めたファンクラブにも入っていないライブにも行ったことのないにわかが偉そうに語るなという気持ちも自分の中にはあるのだが、緑黄色社会を好きな人たちが自由に緑黄色社会について語った方が社会のリョクシャ化が図れるのではないかと思い、恥知らずにもこんな記事を書いてみた次第である。