たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

給食はすごい

 好きだった給食メニュー……昔のことすぎてあまり思い出せない。

 自分ならではの面白い回答をしたいところだが、カレーしか思い浮かばない。カレーは安定して美味しい。課外活動でもなんでも、カレーがまずかったことがない。やはりカレーは偉大だ。インドは偉大だ。さすが0を生み出した国。ラマヌジャンの出身地。

 ちなみに、揚げパンは嫌いだった気がする。食べにくいし、でかすぎるから。ゆで卵の殻が異常に剥きづらかったのもよく思い出す。5年に一度くらいの頻度で現れるコーヒーゼリーにみんなは歓喜していたが、これも私は好きじゃなかった。苦いし。フルーツポンチの方が甘くて美味しい。逆から読みたくなるのもポイント高し。

 ちなみに、私が野菜を嫌わないで食べるようになったのは小学校に入ってからだ。給食の野菜料理は家のそれよりはるかに美味しかった。きゅうりとみかんの酢の物的なあれが妙に記憶に残っている。あとひじきの煮物。

 

 はっきり言って、そんなことはどうでもいい。

 冷静に考えると給食ってヤバい

 給食費がどのくらいするのかググってみた。

https://www.sumida.ed.jp/midorisho/life/oshirase/index.files/kyuusyokuhi.pdf

川崎市教育委員会:学校給食費の納付手続

学校給食費について | 名護市役所

 相場は月5000円前後のようだ。月に20日登校するとしたら、一食250円。

 価格だけ考えると、まあまあ安い。高くはない。自分で弁当を作れば、これより低く抑えることは可能だろうが、弁当を準備する手間をカットできることを考えると激安と言っても良さそうだ。(給食係の労働力がコストの一部を担っているという側面はある。学校というのは安価で労働力を調達できる凄い組織だ!)

 しかも、給食はそこらへんの激安弁当とはレベルが違う。美味いだけではなく、栄養士さんが献立を考えてくれている*1。家の献立を栄養士に作ってもらおうと思ったら、一食を250円で抑えることは到底無理なはずだ。

(参考)

mrs.living.jp

 利益を追求しないから、というだけではこの価格帯は実現不可能だ。飲食業というのは利益率がそんなによくないものである。おそらく営業利益率が5%を超えていたら及第点といえるだろう。仮に給食によって5%の利益を得ようと思っても、価格は250÷0.95=263円ほどにしかならない。給食にかかる真のコストが400円だったとしても、5%の利益を得るためには421円ほどの価格設定になるのであって、利益を追求するしないということ自体は実は価格にそれほど大きな影響を与えない(大きな影響を与えるのは拡大を志向するかしないかのような気がする)。

 では、給食の価格帯を実現せしめているのは何なのであろうか。まず第一に挙げられるのは税金を原資とした補助である。これはたぶんわりとでかい*2。影の費用負担ではあるが、これは社会全体で負担しているものなので、親御さんにとって負担が軽いことは変わらない。子供が健やかに育つことは社会全体にとっても大きな利益である。そして、税負担を加味しても給食は安い。

 それ以外の要因として、私の妄想では、以下の三つの要因がコストを低廉ならしめている。メニューが一日一種類しかないこと、顧客の数が固定されていること、セルフサービスであること、だ。これらによって在庫リスクがなくなり、広告費もなくなり、本来より必要労働力を少なくすることもできる。

 これらは一般の食事提供サービスにおいては顧客にとってデメリットになりうるが、学校という場においてはメリットにさえなりうる。みんなで同じメニューを食べるからこそ、コミュニケーションが促される。「カレーの争奪戦が起きたもんだよなぁ……」などと思い出を語れるのも、単一メニューというシステムがあってこそだ。給食係も普通の料理屋であれば嫌な仕事のはずだが、学校という場になると「ドキドキ……!! 好きなあの子と近づけるチャンスが増えるかも……!?」的なイベントに変わる(こともある)。ある種の合コン的な機能もあるのだ。考えたら、飲食店のバ先のパイセンとイチャラブ的なのは恋愛バラエティではわりと定番の設定だ(『恋愛ドラマな恋がしたい』で見た気がする)。これを全国民に体験させることができるのは、同年代の男と女を強制的に一箇所に集める、学校という場の特性のたまものである。学校はテラスハウスだったのだ……!!(ただし、コロナでこれらのメリットが失われているのが現状かもしれないことは言い添えておこう。)

 コストを抑えつつ、顧客(生徒、親、社会)を満足させる。なんというビジネスモデル。給食はすごい。

 

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*1:学校給食法第7条 義務教育諸学校又は共同調理場において学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる職員(第十条第三項において「学校給食栄養管理者」という。)は、教育職員免許法(昭和二十四年法律第百四十七号)第四条第二項に規定する栄養教諭の免許状を有する者又は栄養士法(昭和二十二年法律第二百四十五号)第二条第一項の規定による栄養士の免許を有する者で学校給食の実施に必要な知識若しくは経験を有するものでなければならない。

*2:https://www.city.ota.gunma.jp/005gyosei/0030-002soumu-zaisei/bs/files/H24aramashi.pdf←URLから考えて群馬県太田市財政課が作成しているものなので信頼度は高そうな気がする