たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

本棚を眺めることは過去を眺めることだ

今週のお題「本棚の中身」

 

 私は本棚を2つ持っている。

 一つは、家に置いてある本棚である。これの中身は大学時代の教科書と漫画とその他諸々で構成されている。蔵書を増やしていくつもりはない。メルカリで処分して、どんどん軽くしていきたいと考えている(が、なかなか売れない)。

 もう一つは、インターネットの中にある本棚である。つまり、Kindleの蔵書だ。基本的に、Kindleは下層に行けば行くほど昔に買った本がある。並び順はたぶん端末ごとで異なるので、使用頻度が低いPC版を見れば、ほぼ時系列順に並んでいるはず。

 というわけで、私の読書遍歴を振り返ってみたいと思う。

教訓

 といって、誰も他人の読書遍歴になんか興味ないだろうから、振り返りから得た教訓を先に書いておきたい。

  • 本当に糧になるのは行動だ。
  • 本は行動のきっかけを与えてくれる。
  • だから読むタイミングも大事。
  • 本は興味の範囲を広げてくれる。
  • Kindle Paperwhiteは読書の幅を広げてくれる。
  • 本棚で自分の人生を振り返ることができる。
  • だからどんどん本を読もう!

社会人一年目

 初めてKindleで本を購入したのは、どうやら社会人一年目かその少し前のようだ。

 一番最下層には青空文庫がずらりと並んでいる。言うまでもなくほとんど読んでいない。

漫画

 次に来るのが漫画群だ。社会人になって、財布を気にせずに漫画を買える喜びを全力で味わっていたに違いない。ラインナップはこんな感じ。

 一番オススメなのは『空が灰色だから』。阿部共実なら『ちーちゃんはちょっと足りない』も良い。『監獄学園』も体育祭前まではすごくいいが、体育祭で挫折した。

 おそらく、この頃はiPadを使っていて、Kindle端末は持っていなかったものと思われる。iPadは重いから外に持ち出したことはほとんどない。Kindleで読む本は家で読むものだったはずだ。

 それから『NISAで始める資産運用』『超簡単 お金の運用術』……といったお金関係の本が続く。

 結局、本を読むより行うが易しということで、この頃に買った本のほとんどは読んでいないが、社会人一年目からお金の勉強を始めていたのは我ながら賢い。

 ちなみに、読み切ったのは『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』だけ。これは読みやすく、やるべきことやるべきでないことが具体的に書いてあり、カバーしている領域の範囲も的確で非常に良い本だった。社会人一年生はこれ一冊買っとけば十分だろう。

 ついでにいうと、『ホントにゼロからの簿記3級』という本もある。わりと早い時期からなぜか簿記に興味は持っていたらしい。ここから実際に勉強するようになるまで6,7年かかったわけだ。

恋愛とコミュニケーション

 『モテるマンガ』『図解雑学恋愛心理学』『笑いとユーモアが身についてしまう本』……といった、恋愛系やコミュニケーション系の本も並んでいる。どうやら好きな女の子との会話が上手くできなかったようである。

 今となっては会話が弾まない女の子のことは諦めた方がいいと思うが、それが成長なのか退化なのかは分からない。ただ、この時の勉強によってコミュニケーション能力や恋愛能力がアップしたという手応えはゼロである。本を読むより行うが易しとは書いたが、恋愛に関しては行う勇気が出なかった……ということかもしれない。

 『モテるマンガ』は普通に漫画として面白い。

一年目冬から二年目

 2016年1月28日号の『週刊文春』があるあたりで、再び漫画ゾーンに入る。

漫画ゾーン

 この時期は私にとって漫画黄金期だった。たしか、このマンガがすごい!を参考にして買った漫画がことごとく面白かったのだ。ラインナップはこんな感じ。

 おそらく『かくかくしかじか』を一番最初に買った(読み返しているから上に行ってしまっているのでここにはない)。そこから東村アキコ作品にハマっている。

 それから学生時代に3巻まで読んでストップしていた『青い花』を金に任せてコンプリートした結果、志村貴子作品を買いまくっている。志村貴子作品は『青い花』『放浪息子』『敷居の住人』がおすすめだ。

 今でも継続して買っている作品の多くは、この時期に買い始めたらしい。

自己啓発ゾーン

 社会人一年目の終わり頃から社会人二年目にかけては自分の中で漫画ブームが到来していたといえそうだ。そのせいか「マンガでやさしくわかる」シリーズ自己啓発本が散見される。正直学びには乏しかったが、おかげで漫画ではわからないということを学んだ。漫画になると文字を読む気になれないのだ。

 それ以外にも、『プロフェッショナル・ネゴシエーターの頭の中』『嫌われる勇気』『夢をかなえるゾウ1』『上手に言い返す技術』『実践版 孫子の兵法』だの、徐々にビジネス系・自己啓発系の本が増えてくる。仕事でクレーマーとどう戦うかに苦慮していたことも伺える。

 ちなみに、マンガじゃないもので読んだのは『嫌われる勇気』と『幸せになる勇気』くらいである。

旅行熱?

 それから『日本酒手帳』だの『洋酒手帳』だのといった手帳シリーズや『旬のうまい魚を知る本』といった食べ物系の本と『温泉の科学』が現れる。全て読んでいない。

 セールで買ったのは間違いないが、もしかしたら、この頃は旅行熱が高かったのかもしれない。今では考えられないことだが、当時は年に数回は旅行していたのだ。そろそろ社会人人生の半分くらいがコロナ禍になると考えると、なかなか凄まじいものがある。

Kindle Paperwhite購入

 『ハーバード・ビジネススクールの投資の授業』がある。ここらへんから、少しハードめな投資関係の本を読むようになりだしたようだ。

 おそらく、この頃にKindle Paperwhiteを購入している。ここらへんから活字の本を通勤中に読むようになったのではなかろうか。

 だからか、『星を継ぐもの』と『夏への扉』といった小説も同時期に買っている。

 『ABC殺人事件』『ゼロ時間へ』『アクロイド殺し』といったクリスティー作品も多い。おぼろげな記憶を手がかりに推測すると、この頃に『ルパン三世』のファーストシリーズを見たのではなかろうか。その影響で、アルセーヌ・ルパンシリーズを二冊くらい読んで、ミステリーっぽいやつ繋がりでホームズにも挑戦したのではないか。その折にセールをやっていたからクリスティー作品を買ったに違いない。この頃は図書館も利用していたから、Kindleでは見えないのだ。ちなみに、クリスティーで読んだのは『ABC殺人事件』だけだ。

 それから、ここらへんで『20歳若く見える頭髪アンチ・エイジング』なる本が登場する。この頃に健康系の本をいくつか買っている。どうやら頭髪が後退しつつあることを自覚したのがこの頃であり、それにより健康への意識が高まったようだ。悲しい。

社会人三年目

 『ブロックチェーン・レボリューション』なる本が登場する。この頃、第一次仮想通貨ブームだったのだ。

 一方で、『バフェットからの手紙』を読んでいる。当時の自分には難しかった。今読んでも難しいかもしれない。いずれにせよ投資の勉強を継続しているのが偉い。

 同時期に『インベスターZ』が1円くらいのセールをやっていて、まとめ買いしている。投資の参考になったかは分からないが、ビジネスにまで視野を広げてくれる良い漫画だったように思う。

 『空気の作り方』はまさにそのビジネスについて書かれた本だ。野球に興味を持ち出したのもこの本がきっかけだろう。

 漫画のラインナップを見てみると、『あさひなぐ』がある。『あさひなぐ』は、時間を潰すためにたまたま見た映画で知った。『乃木坂工事中』や『欅って書けない?』を見るようになったのもこの頃というわけだ。

 その他の漫画は『恋は光』『シグルイ』『保安官エヴァンスの嘘』がある。どれも面白い。特に『シグルイ』は震えた。

 その他に『「怖い絵」で人間を読む』や『予想どおりに不合理』がある。純粋な知的好奇心に基づいて本を買うようになりだしたのがこの時期かもしれない。

社会人四年目

 『出る順社労士一問一答過去問BOOK』がある。異動が決まって買った本なので、ここから4年目だ。ちなみに、この本は読んでいない。

 『フレンチの基本、完全レシピ』などの料理本が並んでいる。読み返しているから上に来てしまっているが、一人暮らしは前年に始まった。この頃はまだ美味しい料理を作ろうという情熱を持っていたのだろう。『フレンチの基本、完全レシピ』はこのとおりに作ったら、本当にレストランレベルのものが作れた。かなりオススメ。(とはいえ、だんだん見ながら作るのが面倒になっていくので、料理人レベルの腕前になれるかといったらそんなことはない。)

 『ExcelVBAの神様』がある。VBA関係の本は何冊か買ったが、これは比較的わかりやすかった気がする。ここでも本を読むより行うが易しで、VBAを身につけるには自分でマクロを組むのが最短にして唯一の道ではないかと思うが、一歩を踏み出すとっかかりを与えてくれた本だ。おかげで仕事が楽しくなったし、かなり楽にもなった。ちょうど仕事がVBAの活用のしがいがある仕事だったのも大きい。読書はタイミングも大事だ。

 『内向型人間のすごい力』『「幸せをお金で買う」5つの授業』がある。この頃は、DaiGoのYouTubeにハマっていた。何かにつけ「科学的には~」が口癖のイタイ奴になりそうになったが、まあ、フィーリングよりファクトを重視するという観点を得られたので必要な経験だったように思う。

 その影響だろう。『スタンフォード式疲れない体』『人生が変わる最高の呼吸法』『スタンフォード式最高の睡眠』『反応しない練習』を読んでいる。なんかちょっと科学的な雰囲気のある自己啓発本(?)である。当時の私にとって「スタンフォード」は最も甘く響く言葉だった。実際、悪い本ではなかった。『反応しない練習』は今でも嫌なことがあったときには思い出す(読み返しはしない)。

 上に行ってしまっているが、これらの前に『睡眠こそ最強の解決策である』を読んだはず。おかげで今でも睡眠を大事にしているし、漢検準一級にも受かった。意識高い系胡散臭い系YouTuberにもハマってみるもんである。

weatheredwithyou.hatenablog.com

 それから『ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則』『経済で読み解く豊臣秀吉』『日本史は逆から学べ』といった本がある。ビジネス→経済→歴史といった順に興味が広がっていっている様子が見て取れる。

 読書体験が充実していく一方で、新しく読む漫画が少なくなってくる。選んだ漫画は悪くなかったが、悪くないどまりで感動するほどではなかった。打率が悪くなってくると、打席も減ってしまう。

社会人五年目~

 『「消費増税」は嘘ばかり』『「年金問題」は嘘ばかり』『生命保険のカラクリ』『すごい物流戦略』『スタンフォード大学で一番人気の経済学入門』といった本が並んでいる。投資からビジネスや経済への興味の移ろいが継続している。

 そして、『グーグル ネット覇者の真実』が現れる。これの前に『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』を読んでいるはずだが、上に行ってしまっている。『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』を読むきっかけになったのは中田敦彦YouTube大学だ。米国株投資に踏み切ったのもこの頃。

 ここから大企業やらアメリカやらにハマりだす。以下の本をこの流れで読んでいる。順番はこのとおりではないと思う。

 国際化の波がついに私の精神にまで押し寄せてきたようだ。以下の本も、その影響を受けて手に取ったような気がする。

 『ゲームの王国』は日本の小説だが、舞台はカンボジア。全体にわたって血なまぐさい緊張感がピンと張り詰めているのに、それでいて笑える謎のSF。めちゃくちゃおもしろい。

 おかげさまか分からないが、打率が上がって読書量も増えている気がする。

 漫画はというと、『ブルーピリオド』『スパイファミリー』『鬼滅の刃』あたりをこの頃に読み始めている。逆に言えば、ここ数年で特筆すべきものがそれくらいしかなく、不作と言わざるを得ない。何に基づいて漫画を買えばいいのか分からなくなっている。

まとめ

 そんなこんなで現在に至る。こうしてみると、思っていた以上に自分が何を考えて生きてきたのかが蔵書から見えてくる。

 本を読む者としての教訓は上に書いたから、ここでは逆の視点、本を読ませる側になったつもりで眺めてみたい。

 一、二年目の私は恋に仕事に悩んでいたらしい。そして、その解決策を本に求めた。ここから「悩みに応える本を売れ!」ということが言えそうだし、ライフステージの変わり目には悩みがちということも言えそうだ。一人暮らしを始めて、料理本を買ったことにも同じことが言える。「人々はどんな悩みを抱いているのだろう?」という問いは、「人生にはどんなライフステージがあるのだろう?」に置き換えてみてもいいのかもしれない。髪の後退だってライフステージの一つといえる。

 それから、私の場合、Kindle Paperwhiteを買ってから読書量が増えているので、どんなデバイスで読むかも大事だ。何で読ませるかを決める力を持っているのはAmazonAppleくらいかもしれないが、読者が何で読んでいるかを意識するくらいは誰にだってできる。私は意識したことがほとんどないが……。

 私は投資から経済やら歴史やら企業やらに興味を拡大させていったりしたが、ここから言えそうなのは、ホットな領域に隣接する領域はいずれホットになるかもしれないということだ。ゴールドラッシュに乗り遅れても、ジーンズを売ればまだ勝機はある。

 漫画を読んで感動する率が減るにつれ、読む漫画の数自体が減っていくという現象もあった。ここからはユーザー体験の密度がマーケットを拡大させるとも言えそうだ。玉石混交はあまり良くない……が、玉だけを提供しろと言われると困る。このブログのせいでブログ界シュリンクしてしまうと責められたら、何も言い返せない。適切なレコメンデーションが望まれるし、良いものが売れるのが市場にとってベストだというところに着地しておこう。

 こんなのは教訓でもなんでもなく、仮説にすぎない。しかも、目新しさもあまりない気がしてならない。でもまあ、こういうのは自分で納得できることが大事だ。

 あなたも自身の読書遍歴を振り返ってみると、何か発見があるかもしれない。