今週のお題「何して遊んだ?」
幼き頃はとにかく「ごっこ遊び」をすることが多かった。
幼稚園では『ドラゴンボール』のキャラになりきって戦いごっこをしていた。ないはずのかめはめ波がまるで本当に存在するかのように幼児たちは吹き飛ばされていった。家ではガンダム消しゴムやらなんやらを使って姉と人形ごっこをしていた。姉がレゴブロックで作った舞台を私が破壊するのでよく怒られた。姉に漫画を読んで聞かせることもよくやっていた。中学受験を控えて勉強していた姉は激怒していた。
ちなみに、ごっこ遊びでは下記の6つの力が身につくそうだ。*1
- 他者の視点から物事を考える能力
- 創造力
- 表現力
- 協調性
- 観察力
- 社会性
なんだこれは。社会人にこそ求められる能力ではないか。全人類がごっこ遊びをすべき。
それにもかかわらず、小学生くらいになると人前でごっこ遊びをすることはなくなっていく。中学生くらいになると漫画の朗読もやらなくなる。(とはいえ、このくらいの時期はやたらと大人ぶった物言いをしたくなる時期である。これをごっこ遊びの延長と言えなくもないが、遊んでいるという感覚はあまりないだろう。)
じゃあ真似をすることへの情熱の炎がすっかり消え失せたかというと、そんなことはなく、ふとした拍子に復活したりする。高校生の頃、友達に誘われて壁になりきる遊びに興じたことがある。壁にぴったり張り付いて一切の感情をなくすのだ。一種の瞑想のようなものだと思ってもらえばいい。これはなかなか楽しかった。ぜひやってみてほしい。壁から見た世界を体験できるはずだ。一人でやっていたら奇異の目で見られるかもしれないが、複数人でやれば現代アートになるかもしれない。
さすがに最近はごっこ遊びをすることはめっきりない。社会人にもなると、すべてがガチである。疲れて帰ってきた旦那もどきに泥だんごを食べさせている暇があったら、婚活して結婚して本当の料理を共に食らうのが大人という生物なのである。それをどう評価するかはさておき、無意味に何かを演じる時間という遊びは人生からどんどん失われている気がする。個人的には、なんだか人間として衰退していくような感じがする。少し寂しい。
そんなことを考えながら、YouTubeで動画を見ていた。
サムネイルだと浜辺美波のような、動くと夏菜のような美女だが、これは緑黄色社会というバンドのボーカルである。美貌に反して(?)、かなりの実力派だ。
第一声。「いつもと」の発声だけで、ハッとさせられる。この時点で上手い。一番をまるまるアカペラで歌い上げる。朗々とした歌声に引き込まれる*2。テクニックは多彩で、ウィスパーボイス、ファルセット、エッジボイスの使い分けは自在だ。歌声一つで豊かな世界を作りあげてしまう。なんという歌手だろうか? 二番から入ってくるギターの演奏も痺れる。ハーモニクスが( ・∀・)イイ!! 心が滾る。
気付くと、自分も歌っていた。Shoutしていた。お腹を叩きながら。そーれーでーもーぉ!!!
良い曲を聴くと、自分でも歌わずにはいられない。女性歌手の歌だから男子の私に完璧に歌えるわけもない。およそ他人に聞かせるには値しない歌、まさにごっこ遊びである。だがこれが楽しいのだ。
そうか。私は無意識のうちにずっとごっこ遊びにハマり続けていたのだ。歌い続けるかぎり、Babyの頃の情熱は消えていない。6つの力を育てていこう。
*1:ごっこ遊びを通じて身につく力は?年齢別おすすめのごっこ遊びを紹介|0歳からの幼児教室【ベビーパーク/キッズアカデミー】
*2:正常な聴衆の9割9分は、歌声の力強さに夢中で音域が広いことに気付かない。