たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

ホラー映画で恐怖を感じられなくなった人間が『バイオハザード4』をプレイした結果!!

 あなたはお化けを信じますか?

 私は全く信じていません。

 科学的に存在し得ないからではありません。お化けは人の脳が生み出す電気信号的な何かだと考えれば、つまりお化けは人の心に宿るものだとすれば、科学もへったくれもないからです。

 私がお化けを信じない理由はたった一つです。「お化けが本当にいたら怖すぎるから絶対にいない」です。大学生の私は何がきっかけだったかその結論に達しまして、その日を境にして私は生まれ変わりました。もう見えないなにかに恐怖することはなくなったのです。シャンプーで髪を洗う時に「後ろに誰かいたらどうしよう……」とか考えることもなくなりました。そして、どんなホラー映画を見ても恐怖を感じることは全くなくなりました。『リング』『ドーン・オブ・ザ・デッド』『シャイニング』えとせとらえとせとら……どれを見ても心は凪の状態です。少し損をした気分にさえなります。

 こんな理屈にもならん理屈で心のありようが全く変わるとは、人間の心とは不思議なものです。

 

 さて、さる2021年10月21日、OculusQuest2版『バイオハザード4』が発売されました。 


www.youtube.com

 ついにOculusでメジャータイトルのゲームが発売される……しかもVRと相性のよいシューティング系のゲームです。かねてより私は楽しみにしていました。

 私が最後にバイオハザードシリーズに触れたのは小学生になるかならないかくらいの年の頃。PSで発売された初代『バイオハザード』でした。おどろおどろしい雰囲気の古い洋館で人間を食っているゾンビが振り返り……もうこの時点で無理でした。幼い私にとっては怖すぎました。結局、犬が窓を破って飛び込んでくるあたり(たぶんかなり序盤)で続行不可能になりました。

 そんな私が20年以上ぶりのリベンジです! もうあの頃の私とは違います。純粋な子供だった私は、もはや目に見えるものしか信じない大人になったのです。ゾンビなんか怖いはずがない。ゾンビなんてのは虚構の存在に過ぎません。現実に存在しないものに怯えるのはバカのやることです。今の私がゾンビゲームなんかで恐怖を感じるわけがない! できるものならやってみせろ! いやむしろ思い出させてくれ! この私に恐怖という感情を!

 

 結果!

 

 怖すぎる……。

 最初っから怖すぎる。寂れた村にカラスが飛んでるだけで怖すぎる。草のざわめきが怖すぎる。玄関を入って家全体が見渡せないだけで怖すぎる。人間が後ろ向いてるだけで怖すぎる……。家が2階建てなのが怖すぎる……。一人称視点が怖すぎる……!

 これがリアルか……!!

 神の視点で見る映画と実際に自分がホラーの現場に立つゲームとでは全く次元が違いました。私が映画を見て恐怖を感じないと思っていたのは、イカゲームの金持ちたちのごとく高みの見物をしていたからにすぎなかったようです。実際に現場に立つとこんなに脆いとは……!

 このゲーム、VRなので後ろが見えません。後ろから人が来ないか常に周囲を警戒しないといけないのがめっちゃしんどい。壁を背にするゴルゴ13の気持ちが分かる。「戦場ってこんな感じか……」とアフガニスタンに派遣された米兵に思いを馳せたりもしました。私には戦争は無理です。平和って素晴らしい。

 最初のステージで死んだ時、「もう返金してしまおうか……」という言葉が心をよぎりました。しかし、「あの頃の自分とは違うんだ!」となんとか己を奮い立たせて続けています。これが大人になるってことかしら。

 

 というわけで、OculusQuest2版『バイオハザード4』は見事、感情を忘れた人間に恐怖と平和への祈りを思い出させてくれたようです。ゲームってすごい。VRってすごい。

www.oculus.com