たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

『東京卍リベンジャーズ』はタイトルがダサすぎると思って避けているあなたへ

 『東京卍リベンジャーズ』を先週から読み始めていて、昨日、既刊全巻を読み終えました。

 なかなか面白い漫画なのでご紹介します。

最初の印象:タイトルがダサい

 かねてから話題になっていたこの漫画。私が先週まで手を出さなかったのは、ひとえに「タイトルがクソダサい!!」につきます。

 まず漫画なのに地名が先頭に来ているのがダサい。だってアタイ東京なんかに興味ないもん。東京が頭に来ていいのは、『東京物語』と『東京ゴッドファーザーズ』だけ!(『東京ゴッドファーザーズ』だって『パプリカ』を見なければ絶対に見なかった。)

 それから「卍」。これが超絶にダサい。ヤンキー漫画かよっていう(ヤンキー漫画なのだが)。ヤンキーには東京以上に興味がない! リーゼントとか、特攻服とか、ゴテゴテのバイクとか、あれの何がカッコいいのか全く理解できましぇーん。

 極めつけは「リベンジャーズ」です。いや戦隊モノか!?というダサさ。あまりのダサさに、復讐なんて不毛だよ!右の頬を打たれたら左の頬を差し出そうよ!と言いたくなってしまいます。

 

 しかし、この表面上のダサさやイメージに騙されてはなりません。

 まず、この漫画はヤンキー漫画なのですが、どちらかというとミステリーの側面が強いです。さらにタイムリープものでもあります。他の漫画で言えば、僕だけがいない街』に近いです。

 ちなみに、私が読み始めたきっかけは下の動画です。


www.youtube.com

あらすじ

 あらすじを説明するとこうです。

 主人公は花垣武道(はながきたけみち)。26歳のフリーター。レンタルビデオ屋で働き、年下の店長に怒られる情けない日々。そんなある日、人生で唯一の恋人(中学生の時に破局済み)である橘日向とその弟の橘直人が犯罪組織の抗争に巻き込まれて死んだことをニュースで知ります。呆然とする武道は、駅のプラットフォームで誰かに突き飛ばされて電車に轢かれてしまうのでした。

 走馬灯を見る武道ですが、ふと自分が12年前に戻っていることに気付きます。中学2年生でイキっていたあの頃。その日は、武道の人生が転落を始めた日……。

 その後なんやかんやあって、武道はヤンキーもどきに絡まれている橘直人(元カノの弟)を救います。その流れで、彼にタイムリープのことを伝え、ダメ元で未来を変えるように伝えてみます。直人は快諾してくれて、二人は固い握手をします。

 すると、武道は12年後の病院で目を覚まします。なんと、武道を救ってくれた人がいるようなのです。夢を見ていたのか……と思うと同時に、あのタイミングで無傷で救出されたことに疑問を抱きます。そして現れた命の恩人、その人こそ橘直人だったのです。死んだはずの直人が生きている! 二人はタイムリープによって運命が変えられることを知ります。直人は生き残りましたが、日向はやはり死んでいます。橘日向を救うには犯罪組織・東京卍會の成立を阻止するしかない! ここから橘日向を救うための武道の冒険が始まります。

この漫画の面白さ

 まず、この漫画のタイムリープには特徴があります。

  • ちょうど12年前(後)にしか飛べない
  • したがって、一度変えた過去はもう変えられない。
  • 間の12年間で何があったのかは後から調べることでしか分からない。
  • 東京卍會の過去はいくら調べても断片的な情報しか掴めない

 よって、武道がミッションを達成できるかどうかは一発勝負のところがあります。これがハラハラします。ちなみに武道はこんな名前ですが、喧嘩は弱く、武力で勝利することはありません。

 さらに、ミッションを達成しても橘日向を救えるとは限りません。けれど、確実に未来の姿は変わっていくため、そのたびに東京卍會についての新しい事実が分かり、同時に新しい謎が浮かび上がってくるのです。これが面白い。

 武道はタイムリープをして、ただの不良グループだったころの東京卍會の中に入っていきます。知らない犯罪組織だった東京卍會は、かつて友達だった人たちに変わっていきます。したがって、話の構造は、12年の間に友人たちに何があったのかを少しずつ解き明かしていくというものに変容していきます。

 また、このような構造であるため、この漫画におけるヤンキーは、反社会勢力になるかどうかの岐路に立っている危うい存在として描かれることになります(ヤンキーは反社会勢力だろ!という見方もあるとは思いますが)。この描き方は個人的には少し新鮮でしたね。

 あとヤンキー漫画だけど絵は可愛い系でして、『家庭教師ヒットマンREBORN!』みがほのかにあります。『新宿スワン』は読んだことがありませんが、表紙からは同じ作者の作品とは思えません。

微妙なところ

 ただ、バトル部分に関してはあまり期待しない方がいいかもしれません。しょせんヤンキーの喧嘩にすぎませんので、バトルの面白さを期待するなら『ワンピース』なり『ドラゴンボール』なりを読んだ方が良いよとは思います。

 正直、20巻あたりをすぎてからはそこらへんの要素が強くなってきていたので、自分の中では下降線気味ではありました。が、最新巻ではついに大団円。良かった良かった……と思ったら新展開。まあ「引き伸ばしだ!」という反応も分かります。とはいえ、結末に若干の尻窄み感を覚えた自分としては、逆にここからに期待したいところではあります。

まとめ

 というわけで、『東京卍リベンジャーズ』が面白いです。

 とりあえず1巻だけ読んでみるか(たぶん無料で読める)、ネトフリあたりに登録している方はアニメを見てみても良いのではないでしょうか。