たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

アマゾンのビジネス書キャンペーンでオススメの本を紹介します。

www.amazon.co.jp

 Amazonでお得なキャンペーンをまたやってますね。

 というわけで、今回セール対象の本の中からオススメの本を紹介します。

ZERO to ONE

 まずこれ! これは名著ですね。

 著者は、イーロン・マスクと共に(?)今のペイパルの礎を築いたピーター・ティール。このペイパルの創業メンバーはペイパルマフィアと呼ばれていて、ビジネス界で大活躍しているのですが、そのドンがこのピーター・ティール。初期のフェイスブックに投資したことでも有名です。まあ、要するに、イーロン・マスクマーク・ザッカーバーグと同じくらい凄い人と考えていただければ間違いないと思います。

 その彼が、スタンフォード大学で起業の授業をした、その講義録から生まれたのがこの本のようです。

 そのメッセージを一言でまとめれば、「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」です。これを己に問えという話です。なぜそれが大事なのか?ピーター・ティール自身が見つけた真実は何なのかについても書かれています。

 たとえば、ピーター・ティールにしてみれば、クリエイティブな独占ほど良いことはないというのです。独占禁止法に毒されていた私はこれを読んで目からウロコが落ちまくりました。

NO RULES

 今、エンターテインメント業界を席巻しているNetflix。そのNetflixの組織哲学がどのようなものなのかを、共同創業者でありCEOであるリード・ヘイスティングス自身が書いた本です。

 その哲学は至ってシンプルです。以下の三本柱に集約することができます。

  1. 能力密度を高める
  2. フィードバックを促す
  3. ルールを撤廃する

 能力密度を高めるというのは要するに有能なスタッフだけを揃えるということです。この点については、Googleだって採用にはかなり力を入れているし、Amazonも採用の基準を下げないように気を付けているというのは有名な話で、人事が企業の柱であることは疑いようがなさそうです。ただし、Netflixの場合はこの点を他の企業以上に突き詰めていて、有能なスタッフを獲得し維持するためであれば大金を惜しまないし、逆に必要のなくなったスタッフを切り捨てることに躊躇はしません。

 有能なスタッフの力をさらに引き出すために、Netflixはフィードバックを重視しています。まあ、これもよく大事だとされていることですね。これを聞くと、「アメリカと日本は違うよ」と思うかもしれません。でも、アメリカ人だって別に誰でもいつでも考えなしにズケズケと物を言い合うわけではないのです。このルールを徹底するには様々な工夫が必要です。日本を始めとしたアジア人にフィードバックをさせるのはさらに大変で、そこらへんの工夫もこの本には書かれています。

 Netflixが最も独特なのは、おそらく「ルールを撤廃する」の部分でしょう。これは他の企業ではなかなか聞いたことがありません。これができるのは、もちろん能力密度を高めているからですし、Netflixがクリエイティブ企業であるからでもあります。

 この本を平社員が読むと、今の会社に不満を覚えてしまうだけに終わるかもしれません。でも、優れた組織とはどのようなものか?を考えるヒントにはなるのではないでしょうか。それに、これほど先鋭的なルールを浸透させるにはどれほどの努力が必要かも垣間見えます。

会計の世界史

 〇〇の世界史本にハズレ無しと私は思っているのですが、この本もご多分に漏れません。

 まず、世界史本が面白いのは、歴史には意外性があるからです。何がどのように作用するかは当時の人間には誰にも分かりません。簿記が発展を始めたのはイタリアですが、なぜイタリアだったのか? そこには、イタリアの毛織物が衰退したことが関わっているのです。産業が衰退するのは普通に考えれば良くないことですが、そのことによりイタリアは製紙技術を発展させ、簿記の礎を築くことができたのです。まさに人間万事塞翁が馬。静岡が鹿児島にお茶の一大産地の地位を奪われても、それが次のイノベーションに繋がるのかもしれません。

 世界史本が面白いのは、自分の思考の穴を埋めてくれるからでもあります。その穴を埋めてくれるものが自分の予想外のところから来れば、それもまた意外性です。

 イタリアから簿記はスタートした……。そこで我々はついつい現代の決算書をイメージしてしまうものではないでしょうか。しかし、当然のことながら、出発したばかりの簿記と現代の会計はかなり違うものです。減価償却もないし、監査も無ければ、そもそも人に見せるためのものですらなかったのですから。なぜなら必要がなかったからです。では、必要を生んだものとは何だったのか? それは大航海時代であり、鉄道であり……。

 『会計の世界史』というタイトルを読んで、「会計になんて興味ないよ!」と思う方は多いことでしょう。しかし、会計は世界と密接に繋がっているし、そこにはある種のドラマがあるのです。

ビジョナリー・カンパニー

 この本はAmazon創業者のジェフ・ベゾスもお気に入りの一冊に挙げる名著です。

 この本がどういう本かといいますと、著者のジム・コリンズさんとそのチームが、世界の偉大な企業(=ビジョナリー・カンパニー)の歴史などを調べに調べまくって、共通する特徴を見つけ出した!という本になります。

 まず一番重要なのは、立派な企業を成り立たせているのはカリスマ経営者ではなく、企業の仕組みであるという点です。ものすごく簡単に言うと、みんなが頑張っているから凄いんじゃなくて、みんなを頑張らせる仕組みを持っているから凄いんだってことですね。じゃあ、その仕組みってどんなもんなのよ?というのも当然この本に書かれています。

 もちろん具体例がたくさん盛り込まれているので、この本にはビジョナリー・カンパニー列伝的な側面があります。P&GやIBMやメルクやHPなどなど……GAFAMがもてはやされる昨今、なかなかそのサクセスストーリーを見る機会のない大企業の話が一冊にまとまっているので若干のお得感もあります。

実践行動経済学

 行動経済学は面白いです。しらないと「経済学ぅ? つまんなそ」と思ってしまうに違いありませんが、行動経済学は心理学に近いものです。

 従来の経済学は人間が合理的であることを前提にそのモデルが作られています。これは経済学のモデルというバーチャル・リアリティを作り上げるうえで重要な要素であり、否定されるべきことではありません。が、我々が知っている通り、人間は非合理的な生き物であるため、経済学的観点からは理解できない出来事、解決できない問題が存在します。

 行動経済学は、その人間の非合理性の中に法則を見つけ、それを問題解決に利用しちゃおうよ!という学問、あるいは取り組みです。

 この本はタイトルの通り、問題解決のために行動経済学を実践する手引きです。

 ただ、アリエリーさんの本がセールになってたらそっちの方が読み物としては面白いかもしれません。『予想どおりに不合理』とかそのあたり。

HARD THINGS

 これはアンドリーセン・ホロウィッツという投資会社の経営者であるベン・ホロウィッツさんの本で、彼がマイクロソフトの脅威とドットコムバブル崩壊の中で、いかにして会社の倒産を免れたのかその奮闘の記録と教訓とが書いてあります。

 この本は、GAFA関連の本などをある程度読んでから読むと面白いと思います。というのは、AmazonGoogleNetflixの伝記本にも、そして上に書いた『ZERO to ONE』にも、ドットコムバブルの話が出てくるのですが、彼らはドットコムバブルを乗り越えちゃっているんですね。しかも、AmazonにせよGoogleにせよ、ドットコムバブルのせいで株価が下がったけど業績には影響なんてなかったぜ!という話だったりします。たしか。なので、それらの本を読んでいると、ドットコムバブルなんて大したことなかったんだなと思ってしまいがち。しかし、この本はまさにドットコムバブルで煮え湯を飲まされた人の話なので、それらの本のせいで歪んでしまった歴史観を正してくれます。

 ただし、この本の半分以上を占めるのは教訓部分なのですが、リーダー的存在でない人には縁がない話が多く少し退屈かもしれません。

フェイスブック 若き天才の野望

 出た! 野望シリーズ! なぜかGAFA関連の本は「野望」をタイトルに付けがちです。

 それは良いとして、これはFACEBOOKの起業から2010年頃までの歴史を描いた本です。話の大半が資金調達の話なので、面白いかどうかといったら微妙かもしれません。

 ただ、GAFAの一角であるFACEBOOKの歴史については学んでおいて損はないと思います。ハーバードの寮の一室から生まれたフェイスブックが世界を征服した流れは行動経済学と繋げて理解することもできます。また、FACEBOOKの戦略は徹底したプラットフォーマー戦略でありまして、その点、マーク・ザッカーバーグと同じくハーバード中退のビル・ゲイツによく似ているな~と思ったりしました(Appleと仲が悪いところまで似ている!)。

 個人的に最大の収穫は100万アクセス稼げれば、ビジネスモデルの有無と関係なく、それはもうビジネスの種でしかないということを学べたことかもしれません。

コンテナ物語

 現在、読んでいる最中なのですが、面白いです。コンテナがどのようにして世界を変えていったのかが描かれています。

 イノベーションはどのように生まれるのか? イノベーションはどのように普及していくのか? どのようにしてそれを阻まれるのか? 阻んだ側はどうなっていくのか?  そうしたことが詰まっています。

 とはいえ、このタイトルを見て「コンテナねぇ……興味ないね」という感想を抱く人が大半だと思います。そういう時は、まずはコンテナのない世界を想像してみると良いかもしれません。どうやって船に荷物を積むのでしょうか。そのためにどれだけの人手が必要になるのか。陸に揚げてからはどうやって運ぶのでしょうか。ということを想像していくと、「コンテナかぁ……」くらいにはなるかもしれません。

 読み終えたらまた改めて感想を書きます。

ウォール街のランダム・ウォーカー

 投資中級者くらいの人が投資について包括的に学ぶのにうってつけの本です。

 この本については下の記事で書いています。

weatheredwithyou.hatenablog.com

スノー・ボール

 世界一の投資家ウォーレン・バフェットさんの伝記です。

 ぶっちゃけ、オススメはしません。なんたって長い。長いし、もはや90超えてるおじいちゃん投資家の伝記を読んで何か糧になるかっていうと、あんまりならないと思います。基本的にやってることは投資だし。バフェットの投資術について知りたいならば、『バフェットからの手紙』を読んだ方がよろしい。難しいですけどね。そして、株式投資一般について勉強するなら『ウォール街のランダム・ウォーカー』の方が良いです。

 ポイントをまとめると以下のとおりです。

  • 元々はPBRが1以下の企業に投資するシケモク手法を取っていた
  • 師匠のグレアムよりは積極派
  • 真の企業価値と市場価値を比較するようになったのはマンガーに感化されてから
  • バークシャー・ハサウェイへの投資は彼にとって最大級の失敗だった!!
  • 前払いをしてもらうビジネスに魅力を感じていた(保険会社やポイント会社)
  • バフェットは元々ペプシ
  • バフェットは食ってもないのに日本料理が大嫌い!
  • 浮気する

 まあ、良くも悪くもバフェットに対する幻想を壊される本です。そういう意味ではバフェットのことを好々爺だと思っている人は読むと良い本かもしれません。

 私はこの本を読んで、バフェットは意外とスティーブ・ジョブズに似ているなと思いましたね。どちらも物事に異常なこだわりを持っていて、現実歪曲フィールドを備えている。それがビル・ゲイツと仲良しなんだから面白いもんです。

まとめ

 以上、オススメ本でした。読んだことのある本はほぼ全て紹介する感じになってしまいました。

 断トツでオススメなのは『ZERO to ONE』です。これはぜひ読んでほしいなあ~。紹介した他の本にも「賛成する人がほとんどいない大切な真実」が関わっていると私は思うのです。『コンテナ物語』などはまさにそんな話です。『HARD THINGS』は競争の中に身を投じてしまったらどうなるかを描いているという風にも読めます。『フェイスブック』にもピーター・ティールは登場します。世界の見方を変えてくれる本は面白いです。

 ではまた。