たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

そこ曲がったら、櫻坂【学力テストは関係ない!地頭クイーン決定戦!後半戦】 感想 ~なぞなぞは言語学的ゲームである~

 今週の「そこ曲がったら、櫻坂?」を見ていて思ったことを書きます。

 今週のテーマは地頭クイーン決定戦ということで、櫻坂46のメンバーになぞなぞを出題して一番地頭が良い人を決めちゃおうという企画です。

 

 その中で、こんな問題が出ました。

Q.細かくすればするほど重くなるものは?

 

シンキングタイム、スタート~。

 

何が出るかな?

 

何が出るかな?

 

シンキングタイム終了~。

 

A.お金

(解説)

一万円札を100円100枚に細かくしたら重くなりますよね。そういうノリのあれです。

 

 さてさて、この問題の構造はどうなっているかというと、記号内容と記号表現のズレを利用している問題といえます。

 記号内容? 記号表現? なんじゃそら?

 具体的に見ていきましょう。

 この問題がなぜ難しいかというと、細かくしたら重くなるものはこの世に存在しないからです。なぜなら質量保存の法則というものがこの世界にはあるようでして、ある物質があって、それをどんなに切り分けたとしても、それだけで質量が増えるなんてことはありえないからです。

 しかし、答えのように、たしかにお金は細かくしたら重くなります。これがなぜ起きるのか? それは、お金はそれを表す物質と物理的に全く関係のないものだからです。たとえば、1円硬貨は1グラムのアルミニウムであり、「1円」という意味を持っている物体です。しかし、この「1円」という意味は、1グラムのアルミニウムという物質が内在するものではありません。人間が勝手に1グラムのアルミニウムに1円という意味を持たせているだけなのです。この「1円という意味」のことを記号内容といい、それを表す手段である「1円玉という物体」のことを記号表現といいます(というか、ここではそういうことにします)。

 1円玉(=記号表現)は細かく刻んでも重くはなりません。1000円という概念(=記号内容)を100円×10という形に細かくしてもその概念は重くはなりません(そもそも重みがない)。しかし、1000円という概念を100円×10という形に細かくすると、それを表すものは一枚の紙幣から10枚の硬貨になり重くなります(=記号内容を細かくすると、記号表現が重くなる)。

 以上を一言で言えば、記号内容と記号表現の性質の違いを利用したクイズが件のなぞなぞであるということになりましょう。

 

 さて次の問題がこちら。 

Q.「サ」「イ」「タ」「マ」(それぞれカードに書かれている)

これを一枚だけ動かしてキッチン用品を作ってください。

A.「マ」のカードを「サ」の上にうまいことかぶせて「マナイタ」を作る。

 

 これも上と似たような構造です。

 それぞれのカードが記号表現であり、記号内容はそのカードに書かれた文字(のうち見える範囲)です。

 記号内容は並べ替えてもキッチン用品になりませんが、記号表現の方は上手いことやると記号内容を変化させることができます。

 

 次!

Q.次の文章の中から間違いを見つけてください。

澤部佑さんは埼玉県生まれ。

土田晃之さんは「つっちー」と呼ばれる。

櫻坂メンバーには守屋が二人いる。

松田里奈は十代ではない。

 

 これは「間違い」という言葉を記号内容と記号表現に分けることがポイントです。

  • 記号内容:正しいもの、または正常のものとくい違うこと。そういう事柄。
  • 記号表現:「間違い」という文字、または音

 日常感覚では、「間違い」という言葉の表す記号内容を見つけてくれという問題文に読めます。しかし、これはなぞなぞなので、「間違い」という記号表現を見つけてくださいという問題文なのです。

 というわけで、左から11文字目を縦読みすると「まちがい」がありました。

 

 NEXT。

Q.楽屋の扉に次の張り紙が貼られていました。中にいるのは誰?

10🔟

(補足:下線のある10と、四角に囲われた10が並んでいます。)

 

 これも記号内容と記号表現に分けて考えて見ましょう。

  • 記号内容:10という数
  • 記号表現:10というアラビア数字

 ここでは、同じ記号内容を表す、別の記号表現に置き換えてみるというテクを使います。人名なので、まず思いつくのが「十」という漢字に変えてみることです。

 というわけで、答えは「土田」になります。「土」は下線のある十で、「田」は四角に囲われた十ですね。

 

 ちょっと難しいのが次の問題。

Q.ガラスのコップに入って、紙コップに入らないものは?

 

 これは「入る」という動詞がポイントです。普通に考えると、下のようになります。

  • 記号表現:「入る」という言葉
  • 記号内容:コップの外から中に物質が移動すること

 記号表現の方はこれで良いのですが、記号内容の方はこれでは間違いです。

 なぜなら、「入る」という記号表現が表す記号内容はもっと多様だからです。たとえば、「年季が入る」といったような使い方も「入る」にはあります。

 そう、この問題のポイントは「コップ」という誘導に引っかからずに「入る」の意味を考えられるか?というところなのです。

 というわけで、答えは「ヒビ」でした。

 

 ここまでくればもうどんな問題もかかってこいです!

Q.次の中で一番賢いのは?

  • 遠藤光莉
  • 大沼晶保
  • 大園玲
  • 増本綺良

 

 はい、これも「賢い」がポイントですね。

  • 記号表現:「賢い」という文字
  • 記号内容:頭が良いこと

 賢い、かしこい、カシコイ……記号表現から攻めるのはあんまりよくなさそうです。ということは、記号内容で繋がる別の記号表現を探して見ましょう。

 賢い→知的、頭が良い、クレバー、スマート……

 むむむ? 頭が良い……。

  • 記号内容:「アタマガイイ」という音
  • 記号表現:「頭が良い」という文字

 ここからさらに別の記号表現を考えていくと……頭がE!

 というわけで答えは遠藤でした。

 二重で変換を求められるという問題でした。

 

 おそらくこれが一番難しい問題です。

Q.?に入る数字は?

  • 本:46
  • 布団:49
  • バナナ:69
  • 靴:?

 

 これまでの流れを踏まえれば、この問題は数字を別の記号表現に変換することで解けそうです。

 さて、どうやって変換すればいいでしょうか? 本と46の関係性は……?と考えるのはあまり上手いやり方ではありません。これはなぞなぞですので、常識外の知識は不要なはずです。というわけで、とりあえず数字を音に変換してみましょう。

 46→よんじゅうろく、よんろく、しむ、しろく、よんむ、よむ……

 は!?

本:よむ!

 そうか、この数字は物と結びつく動詞を表していそうだぞ!と気付く人は気付きます。

布団:敷く!

バナナ:剥く!

 というわけで、靴は履くものですので、答えは89となります。

 

 とりあえず、問題解説はこんなところにしておいて……。

 以上をまとめると、どうやらなぞなぞとは、記号内容と記号表現に注目したクイズであるようです。ということを「そこさく」を見て思ったよという話でした。

 ご存知の方も多いとは思いますが、記号内容と記号表現とは言語学上の概念です。この概念を提唱したのはソシュールさんというフランス人なので、記号表現はまたの名をシニフィアン、記号内容はシニフィエといいます。

 これは英語だと、signifierとsignifiedになります。significantは「意味のある」とかそんな感じの意味だっていうのはそれなりに英語を嗜んでいれば知っている人も多いと思いますが、これの動詞バージョンがsignify(意味する)です。playをする人がplayerなのと同じノリで、signifyするものがsignifier、signifyされるものがsignifiedということでしょうね。英語なら分かりやすいですねえ。

 とか偉そうに言っていますが、別に言語学の勉強はしたことはありません(あとなぞなぞも解けなかった)。なので、ここに書いてあることは言語学的には全然間違っているかも。まあ、なぞなぞの説明ができればいいのです。

 

 ちなみに、優勝したのは大園玲ちゃんでした。大園玲ちゃんはねえ、いいキャラしてるんですよ。頭が良くて、面白くて、可愛い。しかも訛ってる。素晴らしいね。(知らない人は澤部の悩み相談に乗る動画を見てほしい。)

 私は、坂道(乃木坂46・日向坂46・櫻坂46・吉本坂46のことを総称して坂道グループと言います。吉本坂をここに含めるかは議論のあるところかもしれません。)で新人に一番恵まれているのは櫻坂46だと思っていまして。元欅坂2期生以降の面子はかなり強力な布陣です。森田、田村、守屋、関はルックスが良い。武本、井上、松田はキャラクターがとても可愛い。他のメンバーも魅力的です。大園玲ちゃんもその一人。運営的にも私的にも今一番来ているのは田村保乃でしょうね。水着笑顔がいいんですよ。私目線だと今回一番輝いていたのは、ちゅけもん、井上、ほのすの三人です。

 テレ東の深夜で「乃木坂工事中」「そこ曲がったら、櫻坂?」「日向坂で会いましょう」と坂道の看板番組が三連続であるのですが、私としては今見ていて一番楽しいのはそこさくです。いやほんとようやっとる。

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