この記事は、東大法学部卒のバビボが主に中高生向けに成績を向上させるきっかけを与えられればと思って書いたものです。受験の記憶は10年以上前のものなので、不備があってもあしからず……。
To be, or not to be, that is the question.
生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ。
人生には大きな決断を迫られる時があります。
- 文理選択
- 志望校選択
- 学部選択
- 就職活動
まだそれらの選択を迫られていない人は、こんな風に考えているかもしれません。
「その時が来たら、どの選択が良いのか、よくよく検討して選ぶんだろう」
これには、「決断の際には検討の材料も時間も意志も大いにあるはずだ」という意味が含まれています。
しかし、実際のところ、そのようなことはありえないと考えておいた方がよいでしょう。
あなたが文系を選ぶべきか理系を選ぶべきか、教えてくれる人はだれもいません。
教師も親も「よく考えろ」と言いますが、考えるための枠組みも情報も与えてくれることは決してありません(教えを請えば答えてくれるかもしれませんが、それが参考になるかは相談相手次第でしょう)。
これは私の偏見ですが、世の中の人の大半は、ほとんど考えずにこれらの決断をしています。
というのは、私がそうだったからです。
なんとなく自分は文系かな~と思ったから文系を選び(ちょっと後悔しています)、とりあえず一番良い大学に行っとけば間違いないだろうと思い東大を選び(これは後悔していません)、文科一類で法律の勉強も面白い気がしてきていたので法学部を選び(少し後悔しています)、無数のお祈りの果てに今の会社に拾ってもらったという人生です。
というわけで、私と同じ後悔は、なるべくこれから選択をする人たちにはしてほしくありませんので、私なりにこうしとけばよかったなあと思うことを書いてみます。
成績で進路を決めない方がよいかもしれない
文系か、理系か。
これを考える時、手持ちの材料はわずか十数年の人生経験です。
そしてその人生は大半が学校生活で構成されているため、必然的に多くの人は学校にまつわる要素をもとに文理選択の判断をすることになります。
「私は数学が嫌いだから文系だな~」とか、
「俺は理科が得意だから理系に行くぜ」とか、
「石神さんは文系なのか……。俺には文系が向いているかもしれないな」とか。
これはあまり良くないです。
東大に入ろうと思ったら、数学も理科も理系並みにできなくてはなりません(これは「センター試験の数学や理科は満点を目指すのが当然」というくらいの意味です)。
「いや私、東大に入ろうとか思ってませんカラー」と思わないでください。
私が言いたいのは、高校レベルの試験の成績なんてもんは勉強次第でどうにでもなるっちゅうことなんです。
その科目が好きかどうかも、習熟の度合いや先生によって容易に変わりうるものです。
歩くべき道は目的地が決める
じゃあ、どうやって考えればいいのよ?って話ですよね。
まず、進路は読んで字のごとく、進む路(みち)です。道なんですね。目的地ではないんです。
あなたは街を歩いていて、道を選ぶ時、何を基準にして選ぶでしょうか?
目的地ではないでしょうか。
目的地にたどり着くための最短ルートや、最安ルート、あるいはもっとも安全な道や、快適な道を選ぶのではないでしょうか。
「ブブー。無目的にブラブラする時もありますー」
と思う人もいるかもしれませんが、そんなあなたはすでに目的地にたどり着いているからそのような選択をしているにすぎません。
よって、どの道を歩むかを決める前に、まず目的地を決めましょう。
目的地=大学で何を学びたいか
とはいえですよ、どこまで考えられるのかという問題があります。
目的地を職業として考えた場合、無数の選択肢があります。
それに、文理選択をしてから就職先を決めるまでの間に数年のギャップがありますが、今の時代、この数年が経済を大きく変える可能性があります。
時代が変わらなくても、あなたの気持ちが変わるかもしれません。
以上のようなことを考慮しますと、「大学でどんな勉強がしたいか」くらいのところを目的地として考えるのが妥協点なのかなという気がします。
何を学ぶかをどうやって選ぶか
「大学でどんな勉強がしたいかどうやって選べばいいのでげす?」
という話になりますね。
これについて、私が思うのは、大学の教科書を読んじゃえばいいじゃんということなのです。
大学に行って何をするかといえば、教科書を読んで勉強するのです。
つまり、教科書を読めば大学に行ったようなもん!
You、大学に体験入学しちゃいなよ、ということなのです。
大学の教科書という難しそうなオーラを醸し出していますが、実際そうかはものによります。
そもそも大学生といっても、一年生の多くは高校を卒業して数ヶ月も経っていない人間です。
そやつらが読む教科書にめちゃんこ難しいものしかないということはありえないのです。
私のオススメは有斐閣アルマというシリーズです。
(上記ページでは、「テキスト目録の分類を探す」からレベル指定できます。)
このシリーズは実際によく大学の教科書になりますし、わりかし分かりやすい本が多いです。
まともな図書館であれば、何冊か置いてあるはずなので手にとってみるとよいと思います。
「いや、そんな本を何十冊も読んでたら時間がいくらあっても足りんわ!!」
というツッコミが聞こえてきますね。
安心してください。
教科書を読んじゃえばいいじゃんといっても、教科書をまるまる一冊読んじゃえばいいじゃんという意味ではありません。
そんなことができるならもはや大学に行かなくていいかもしれません。
読むべき場所は一番最初だけです。
つまり、「まえがき」とか「はしがき」とか「はじめに」とか題されがちな箇所です。
ここには、その本(つまりその学問領域)が、どのような問題意識のもとに、どのような手段で問題にアプローチしているかが端的に書いてあります。
これはせいぜい2,3ページですので、そんなに時間はかかりません。
余裕があれば目次を読んでみてもいいかもしれません。
もし面白そうな領域を見つけたら、中身を読み進めてもいいし、図書館のそのコーナーに通い詰めてもいいかもしれないですね。
まとめ
というわけで、
- 進路を考える時には大学で何を学びたいかを決めよう。
- 大学で何を学びたいかは教科書を読んで決めよう。
という話でした。
上にも書いたとおり、私はこんなことを考えずに進路を決めてしまいました。
したがって、私自身がこのやり方で成功したうえで、オススメ!と言っているわけではありませんので、その点はご了承ください。
もしかしたら的はずれなことを言っているかもしれません。
余談(POTスコアについて)
ちなみに、最近話題になっている本があります。
この本の著者であるクリスティー・シェンさんは、興味がある中で最もコスパの良い進路を計算してコンピュータエンジニアリングの道に進んだそうです。
具体的にはPOT(Pay Over Tuition)スコアというものを算出したようです。
POTスコアとは、その専攻を選んだ人の期待年収(年収の中央値)から最低賃金による年収を差し引き、その値を専攻にかかる費用で割って得られる数字のことです。
たとえば、大学に行かなくても生涯収入3000万円は普通に稼げるとします。もし、法律の勉強をした人の半分以上は生涯収入が1億円を超えるとすると、法律の勉強が生み出す価値は7000万円ということになります。
しかし、勉強にはコストがかかりますので、これを無視するわけにはいきません。
そこでコストで割って、その勉強がコストの何倍の価値を生み出すのかを算出した、ということです。
めっちゃ頭いいですね。(でも、これを書いていて、比率より絶対値の方が重要だし年収から生涯収入を算出してコストを引いた方が良いのでは?と思ったりもしました。)
というわけで、いろんな考え方があります。