たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

失敗から学んだ回数が成績を決める

この記事は、東大法学部卒のバビボが主に中高生向けに成績を向上させるきっかけを与えられればと思って書いたものです。

 

 成績を決めるのは、勉強の量と質です。

 そのうち勉強の量を増やすための戦術を前回は書きました。

 今回は勉強の質を高めるための総論を書きます。

 学習のプロセス

 私は、学習のプロセスは以下のようになると思っています。

  1. インプット(省略可能)
  2. アウトプット
  3. フィードバック

 情報を受け取って(インプット)、それを再現してみて(アウトプット)、受け取った情報と比較してインプットの誤りを正していく(フィードバック)。

 たとえば、「カバンは鞄と書きます」という情報を得たとします。次にやるべきことは、自分で何も見ずにカバンを漢字で書いてみることです。この時に「鮑」と書いてしまうとします。鞄と鮑を見比べます。鞄の偏は革偏だと認識します(そうか「鞄は革製が多いもんな」と考えたりします)。もう一度、カバンを漢字で書いてみます。今度は鞄と書けました。学習完了です。(本当に覚えたか確認するために時間をおいてもう一度アウトプットする必要があります。)

 インプットが省略可能というのは、たとえば「カバンは鞄と書きます」という情報は人生のどこかで得ている可能性があるので、いきなりカバンを漢字で書くことにトライしてみるという意味です。頭に入っていなければ結局、フィードバックの段階でインプットし直します。

 このプロセスを意識することが大切です。

インプット

 インプットというのは、自分の脳みそに情報を入れる作業です。

授業

 おそらく最も一般的なインプットでしょう。

 が、私が思うに最悪のインプット方法だと思います。

 授業の問題点には以下のようなものがあります。

  • 自分用に最適化されていない
  • 教師を変えることが困難
  • 再現性がない
  • 時間がかかる

 授業形式の場合、自分の理解度にペースを合わせてくれません。

 分からないところをゆっくり丁寧に説明してはくれないし、分かりきっているところをゆっくり丁寧に説明してきたりします。

 そのうえ、授業の質は教師の力量に大きく左右される一方で、教師を選ぶことは容易ではありません。

 授業は再現できないことも問題です。

 ぼーっと考え事をして、聞き逃してしまったらもうどうにもなりません(やりようはありますが手間です)。

 「いいか、一度しか言わないからよく聞いておけよ」とかたまに聞きますが、意味が分かりません。よく聞く必要があることは何度でも言え。というか、いちいち言わなくてもいいようにどっかに書いとけ。という話なのです。

 しかも、目で見れば一瞬で入ってくる情報も、黒板書き書きして口頭で説明すると膨大な時間がかかります。非常に効率が悪いですね。

 ここまで授業のことを批判してきましたが、現状、授業は受ける必要のあるものである以上、真面目に受けて有意義に過ごしましょう。

 もちろん、授業にも長所はあります。

 やり方次第で、視覚的情報以外の様々な情報を表現できるし、アウトプットを兼ねることもできます。

 また、生徒のペースに合わせないというのも、時には長所になります。

 昨今ではYouTubeなどのコンテンツが充実しているので、そういうものに関しては上記のデメリットを克服できていて悪くないインプット方法かもしれません。

教科書

 教科書は自分のペースでインプットできる点で、授業よりも優れています。

 ただし、教科書は情報が圧縮されがちという問題があります。

 そのせいで、必要な情報を読者の側で読み解かねばならない場面が発生しますが、これは学習の際の大きな妨げになります。

参考書

 教科書では学習が困難な場合に、参考書が有効です。

 参考書は教科書では不足しがちな情報を補足してくれていたり、より分かりやすくなるように工夫してくれていたりしますので、インプットの要となります。

 大学受験は参考書を選ぶところから始まるといっても過言ではないでしょう。

 大学受験用の参考書のだいたいは初歩から書かれていますので、中学生でもちょっと立ち読みしてみてどんなもんか見てみるといいかもしれませんね。

 参考書の欠点は、お金がかかることです。塾に比べれば極めて安いですが。

 ちなみに、どの参考書を選ぶかという問題ですが、私は2chの有志が作成した(?)参考書wikiみたいなページを利用していました。検索してみましたが見当たりませんでした。今はないのかな?

本に対するよくある誤解

 もし、「薄い本の方が読みやすい」と思っているなら考えをこの機会に改めましょう。

 扱っている題材が同じなのにも関わらず、薄い本と厚い本があるというのは、情報量に差があるということです。

 一般的な本であれば、薄い本は初学者用に情報を厳選してくれているから薄い本が良いということもあるかもしれません。

 しかし、大学受験対策となると話は別です。

 まず、情報量が多ければ、それだけ対応できる問題の数が増えます。

 そして、情報量が多い場合、説明が充実している可能性が高いのです。なので、「これどういう意味~!?」と読み進められなくなる頻度が減ります。

 説明の少ない参考書と説明がたくさんある参考書なら絶対に後者の方が良いですね。

 本の価値を厚みで測らないようにしましょう。

アウトプット

 アウトプットは、入力した情報を自分で再現してみることです。

 やり方はたくさんあります。

問題を解く

 もっともベーシックなやり方ですね。覚えるべきことを赤ペンで書いて赤シートで消して~とか、単語帳を作るなんてのもこれです。

 インプットが苦手な人はまず問題を解くことから始めてしまうのもありです。

 問題を解いて間違えることで、その知識は自分の中に定着していないものなんだと意味付けできると頭に入りやすいことがあるからです。

 問題を作っちゃうなんてのもありですね。

人に教える

 よく言われるやつです。人に教えるにはよく理解していないといけないと。

 正しいのですが、これを言われると「いや、あっしには教える友達なんかいねーし」と思う人もいるでしょうね。

 別に特定の誰かに教える必要はないと思います。ツイッターで誰にともなくつぶやいたり、自分自身に説明してみたり。

 でも、そもそも私は受験生時代に人に教えるなんてことはほぼしたことありませんので、必須ではないです。

ノートを取る

 ノートを取るのも良いアウトプットの方法です。

 ノートを取ると言っても、授業中に板書をノートに書き写すことはアウトプットではないので勘違いしないように。あれはただ授業というインプットを記録に残しているだけで、聞いたことを再現しているわけではないので。

 アウトプットとしてのノートというのは、見たものを書き写すことではありません。

 自分の頭の中にあるものをノートにまとめることです。

 もちろん、まとめようとしたら全然覚えていないから、結果的に教科書や参考書を見るというのはありです。

 とはいえ、これも私は受験生時代にはやっていませんでした。

 大学時代に気付いたのですが、ただ本を読むだけよりも、ノートを取りながら本を読んだ方が速く読めて、なおかつ後から内容を振り返りやすいことがあります。

 中東の勉強をしていた時は、スケッチブックにアラビア半島の地図を自分で書いたりしていましたね。

 受験生の頃はこういう方法は効率が悪いと侮っていたのですが、今ではインプットとアウトプットは並行して行った方が良いなあと感じています。

フィードバック

 一番重要なのがフィードバックですね。

 アウトプットしたものとインプットしたものを見比べて、差異を確認します。

 異なる部分をインプットし直します。

 その際に、なぜおかしなアウトプットになってしまったのか考えます。

 たとえば、数学の問題を解いて間違えたとします。原因を分析します。

  1. 計算ミスをしたのか?
  2. 公式を覚えていなかったのか?
  3. 問題文を読み取ることができていなかったのか?
  4. 問題へのアプローチの仕方が分からなかったのか?

 もし1の計算ミスであって、考え方は間違っていなかったのであれば、これは実質正解ってことにしてしまって大丈夫です(計算ミスがあまりに多いのであれば計算力を鍛え直す必要があるかもしれません)。

 2であれば公式を覚えます。

 3であれば改めて問題を解いてみます。それで解けるのであれば、これも実質正解ということにします。ただし、読み違えがあまりにおおいのであれば、やはり問題文との向き合い方を考える必要があるでしょう。

 4であれば、問題文で提示された情報からどのようなアプローチがありうるかの選択肢としてその解答をインプットします。たとえば、「直角三角形が出てきて線分の長さを求める問題だったら、三平方の定理が使えるかもしれない」というようなことを考えるわけです。

 というように、原因ごとに対応が全く変わってきます。

 もし、公式を覚えていないことが原因なのに、計算ミスが原因だと思いこんでしまったら成長はありません。

 その問題を解くのに使った時間はなんの価値もない時間になってしまうかもしれません。

 というわけで、的確なフィードバックを行うことが大事です。

よくある間違った勉強法

 個人的に良くないと思う勉強法を書いていきます。

ひたすら書いて覚える勉強法

 小学校の頃、同じ漢字を10回書かされる課題とか出されましたが、個人的にはあれは全くの無意味だと思います。

 なぜなら、インプット→アウトプット→フィードバックの流れが全く意識されていないからです。

 見て→書いて→間違ったところを意識する、という流れで漢字の書き取りをするならこの作業は有効です。

 しかし、それを意識してさえいれば、大概は2,3回書けば覚えられます。

 回数なんか指定せず、それぞれの漢字を覚えるまで書けばいいのです。

 にも関わらず、覚えているかいないかに関わらず10回も書かされるとなると、これは丁寧にフィードバックをしていたら時間が足りませんので、とにかく速く書くことが目的となります。

 結果、何回書いても覚えられないということになります。

綺麗なノートを作る・美しい字を書く

 ノートを取る事自体はいいし、綺麗なノートを作る事自体もいいのですが、大事なのは知識が頭に入るかどうかです。インプット→アウトプット→フィードバックが機能しているかどうかです。

 「綺麗なノートを取ること=上手な絵を描く」だの「綺麗なノートを取ること=色とりどりでなんかきれ~」だのであるなら、それはインプットの質もアウトプットの質も上げません。

 普通に考えれば、美しいノートを作るのには時間がかかります。

 勉強の質を向上させないことに時間をかけるのは無意味です。(将来デザイナーになりたいなら話は別ですが。)

 美しい字も同様です。もちろん、ささっと書いた字が美しい場合には全く問題ありません。

 ただし、「綺麗なノート=書かれていることの重要度や関連性がパッと見て分かりやすいノート」と考えるのであれば、これはインプットの質もアウトプットの質も上げるでしょう。

まとめ

 以上、インプット、アウトプット、フィードバックを意識することが大事だよという話でした。

 フィードバックの回数を重ねるということは、失敗の数が増えるということです。

 世界有数の大企業であるアマゾンは良い失敗をすることを大切にしているそうです。

 失敗をしなければ成長がないからです。

 失敗の数を増やしましょう。そして、できることなら全ての失敗から学びましょう。