たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

大問5 総合原価計算

 簿記の過去問もいよいよ大問5に突入しています。

 大問5に至ってちょっと思うところは、工業簿記は得点源になるかもしれないということです。始めは、商業簿記と全然違うじゃんか~と戸惑いを覚えましたが、学習を進めていくと、覚えることがそんなに多くないことに気付きました。それでいて大問3のように計算量が多いとか複雑だといったこともない。

 日商簿記の合格点は7割。5つの大問中、工業簿記の占める2つで満点を取れれば、商業簿記では半分取れればよいということになりそうです。非常に重要ですね。まだ通しで過去問なり模試を解いたことはありませんので、時間配分がどれくらい意味を持つか分かりませんが、問題を解く順番は4→5→1→2→3がいいかもしれません。

 それはそれとして、これは覚えて置かなければということを今日もまとめます。

総合原価計算

 月初めの仕掛品の個数・進捗度・原価と今月投入の原価から月末仕掛品と完成品の原価を計算する問題です。

進捗度と関係ある原価を分類する

 まず大切なのは、進捗度を考慮に入れるべき原価と考慮に入れない原価の区別です。大切ですが、簡単です。下のような考え方ができれば大丈夫だと思われます。

  1. 加工費は進捗度を考慮する
  2. 「工程の始点で投入する」「前工程費」は進捗度を考慮しないサイン
  3. 「工程を通じて」は進捗度を考慮するサイン

 要するに、工程の最初で全て投入されるか否かです。

配分法

 次に肝心なのが、原価をどのように配分するかということです。月初の仕掛品にどれだけの加工費と原料費を配分するかが問題になります。

 ここさえ押さえればもう覚えることは何もありません。考えることと慣れるだけです。

 この配分方法ですが、二つしかないようです。

  • 平均法
  • 先入先出法

平均法

 この方法では、まず月初仕掛品と当月投入を混ぜてしまいます。両方の費用を足すことで、もう月初仕掛品と投入費用の区別はなくなります。

 後は今月の完成品と仕掛品に個数等に応じて配分するだけ! 簡単!

月初仕掛品 100個(進捗度50%、原料費1000円、加工費1000円)

当月投入量 原料費5000円、加工費5000円

完成品 500個

月末仕掛品 100個(進捗度50%)

※原料費は工程の始点で投入する。

完成品の原料費 6000円 × 500 ÷ 600 = 5000円

完成品の加工費 6000円 × 500 ÷ 550 ≒ 5454円

 まず、加工費は進捗度と関係があります。「原料費は工程の始点で投入する。」とあるので、原料費は進捗度と関係がありません。

 原料費として月初仕掛品の原料費と当月投入の原料費を足します(1000+5000=6000)。加工費も同じ計算になります。

 で、完成品と仕掛品の個数に応じて配分をします。今回は、原料費は進捗度と関係がないので、500/(500+100)を掛けます。加工費は進捗度と関係があるので、500/(500+100×50%)=500/550を掛けます。

先入先出法

 先入先出法は商業簿記でも出てきました。仕入れ時の商品原価を管理しておいて、先に仕入れたものから順番に原価計算に使っていく方法でした。これを今回の原価計算に当てはめると、先に投入したものは後に投入したものと混ぜないということです。

 具体的にいいますと、配分されるものは当月投入分だけです。配分する先は以下の三つ。

  • 月初仕掛品の未進捗部分
  • 月初仕掛品を除く完成品
  • 月末仕掛品の進捗済み部分

あるいは、上二つをまとめてしまって、以下の二つと考えることもできます。

  • 完成品から月初仕掛品の進捗済み部分を除いた部分
  • 月末仕掛品の進捗済み部分

 当月完成品の原価は、これで配分されたものと、月初仕掛品原価を足したものになります。

月初仕掛品 100個(進捗度50%、原料費1000円、加工費1000円)

当月投入量 原料費5000円、加工費5000円

完成品 500個

月末仕掛品 100個(進捗度50%)

※原料費は工程の始点で投入する。

完成品の原料費 1000円 + 5000円 × 400 ÷ 500 = 5000円

完成品の加工費 1000円 + 5000円 × 450 ÷ 500 = 5500円

 まず、加工費は進捗度と関係があります。「原料費は工程の始点で投入する。」とあるので、原料費は進捗度と関係がありません。

 原料費について、配分されるものは当月投入量の5000円になります。月初仕掛品にはすでに100%投入されているので、完成品から月末仕掛品を引いたもの(500-100=400)と月末仕掛品(100)に対して配分していきます。完成品においては、これに月初仕掛品原料費を足します。

 加工品についても、配分されるものは当月投入量の5000円になります。配分する先は、

  • 月初仕掛品の未進捗部分 → 100 × 50% = 50
  • 月初仕掛品を除く完成品 → 500 - 100 = 400
  • 月末仕掛品の進捗済み部分 → 100 × 50% = 50

よって、(50+400)/(50+400+50)を5000円に掛けることで、完成品に配分される額が算出されます。これに月初仕掛品の加工費を足して原価計算完了です。