Q.決算にあたり現金の実際有高を調べたところ通貨の他に手元に次のものがあることが判明した。貸借対照表に計上される現金の金額を求めなさい。
- 他人振り出しの小切手
- 収入印紙
- 配当金領収証
- 郵便切手
- 送金小切手
※金額は省略
要するにどんなものが現金にあたるのか?という問題です。
この問題において、現金にカウントされるのは、
- 通貨(紙幣含む)
- 他人振り出しの小切手
- 配当金領収証
- 送金小切手
であり、
- 収入印紙
- 切手
は現金に含まれません。
なぜでしょうか? 確認していきます。
現金とは
現金には、以下の二種類があります。
- 現金(通貨)
- 現金に換金できるもの(通貨代用証券)
そんなん分かっとるわ!という話ですね。問題は通貨代用証券にはどんなものがあるか?どんなものが含まれないか?です。
通貨代用証券
通貨代用証券には以下のようなものがあります。
- 他人振り出しの小切手
- 配当金領収証
- 公社債の利札
- 送金小切手
- 郵便為替証書
他人振り出しの小切手
小切手は銀行に持っていけば換金できるので、現金です。
ちなみに、自分振り出しの小切手は?と思うかもしれませんが、基本的に自分振り出しの小切手は自分にとってはただの紙切れですね。銀行に持っていく必要がありませんから。
配当金領収証・期日の到来した公社債の利札
領収証が現金なわけないだろ!
知らない人は絶対にそう思う。それが配当金領収証。しかし、配当金領収証とはただの領収書ではありません。それを銀行に持っていくと配当金を受け取れるという引換券なのです。よってこれは現金。
公社債の利札は、配当金領収証の債券バージョンですね。債券にはピラピラと利札が付いていて、期日が過ぎるとそれを銀行に持っていけば利息を受け取れるようです。
今どきこんなもん利用する人がいるのか?と思いましたが、どうやら高齢者を中心に一定の需要があるようです。
送金小切手・郵便為替証書
役所に対して住民票や課税証明書の請求を郵送で行う時には、お金を送らねばなりません。しかし、お金は現金書留でないと郵送してはいけません。そして、現金書留にはけっこうな手数料がかかります。
そのため、役所は定額小為替を同封するように求めているのが通常です。定額小為替は郵便局で買えるのですが、この定額小為替を受け取った人は郵便局に持っていけば換金することができます。たとえば、「300円の定額小為替」は400円で買うことができます。「300円の定額小為替」を郵便局に持っていくと、300円を受け取ることができます。差額の100円が郵便局の取り分です。現金書留に比べれば安価な手数料です。
この定額小為替が郵便為替証書です。定額小為替以外に普通為替証書というのもあります。額面金額を自由に設定できますが、手数料が定額小為替よりも割高になります。これもまた郵便為替証書です。
送金小切手は郵便為替証書の銀行バージョンです。ただし、もはや国内向けにはほとんど扱われていないようです。それに通常の小切手も現金なので、覚える必要はないですね。
収入印紙と切手は?
収入印紙や切手は、どちらも現金に換金できる類のものではありません。どちらも国や郵便局にお金を払った証明でしかなく、現金との引換券ではありません。実際、国も郵便局も、お金と引き換えてはくれません。
金券ショップに行けば、現金化することもできるかもしれませんが、それはあくまで物の売買にすぎないわけです。切手を非正規ルートで手に入れたいと思っている人が存在しない限り、換金できません。これが現金ならメルカリで売れる漫画も現金なんてことになりそうです。というわけで(?)、これらの分類は貯蔵品になるようです。
まとめ
現金とは何ぞやを問われる問題では「それは(需要の有無に関係なく)換金できるものか?」「現金に換金することを目的に存在するものか?」ということを考えれば答えに辿り着けそうです。
ただし、配当金領収証は名前だけでは換金性が分からないので、覚えるとしたらそこではないでしょうか。