たぬきのためふんば

ここにはめたたぬきが糞をしにきます。

第12問目 本店支店

Q.本店の買掛金70万円について、根室支店は本店にかわって小切手を振り出して支払った。支店独立会計制度で、本店側の仕訳は答えなくて良い。

 

 こんな感じの問題がありますが、初見だと混乱します。選択肢に「本店」「支店」があるので、これを使えばよさそうだというあたりはつきます。

 「買掛金」だの「当座預金」だのは、その資産などの形式に従って名前がついています。しかし、本店支店は資産の形とは思えません。そもそも資産なのか負債なのか純資産なのか?

 結論から言うと、本店支店は資産にも負債にもなりうるオールマイティーカード的な立ち位置なのではないかと思います。そして、本店支店という名前はどこに対しての債権債務かによって決まります。

  • 本店が支店に対して負っている債権は借方の支店
  • 本店が支店に対して負っている債務は貸方の支店
  • 支店が本店に対して負っている債権は借方の本店
  • 支店が本店に対して負っている債務は貸方の本店

 一番上の問題は、本店の負債を支店が代わりに返済したわけです。しかし、本店の負債が完全に消えたわけではありません。仮に、私が消費者金融に10万円借りて、母が返済してくれたとします。その場合、私は母に対して10万円の債務(借金)を負うことになります。同じことがこの問題にもいえます。つまり、本店は支店に対して債務を負うわけです。

 問題は支店側の仕訳を記帳するので、解答は以下の通りになります。

(借方)本店 700,000 (貸方)当座預金 700,000

 支店は70万円の貸しがあるので、貸しは左側の借方に書きます。貸しがあるのは本店に対してなので、勘定科目は本店になります。

 ちなみに、本店側の仕訳はおそらく以下のようになります。

(借方)支店 700,000 (貸方)買掛金 700,000

 買掛金が消えた代わりに、支店に対する債務が生じたということですね。

 

 次のような問題もありました。

Q.決算にあたり本店は支店より当期純利益500,000を計上したと連絡を受けた。なお、当社は支店独立会計制度を導入しているが支店側の仕訳は答えなくて良い。

 さっきと違ってあまり貸し借りの感じはないですね。

 でも、決算は会社単位で出すものです。ということは支店の利益はいずれどこかに統合しなければなりません。普通に考えれば、本店に帰っていくものでしょう。

 そう考えれば、支店の利益は本店にわたすべきもの=本店の支店に対する債権と言えそうです。

 よって、仕訳は以下の通り。

(借方)支店 500,000 (貸方)損益 500,000

 

 本店・支店はかなり特殊な勘定科目ですが、特殊なんだとわかっていれば、そんなに難しくはなさそうです。